ブックタイトル高分子 POLYMERS 62巻12月号

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高分子 POLYMERS 62巻12月号

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高分子 POLYMERS 62巻12月号

トピックスCOVER STORY: Topics and Products特集素敵な高分子のギフト―第2弾―暮らしを支える高分子土岐育子ライオン(株)コーポレートコミュニケーションセンター快適生活研究所[130-8644]東京都墨田区本所1-3-7主任研究員,技術士(化学部門).専門は界面機能性高分子の合成および物性.itoki@lion.co.jpwww.lion.co.jp/1.暮らしを支える高分子1.1日用品には高分子が入っている洗剤やハミガキなどの日用家庭品で活躍する高分子素材があることを、皆さんはお気づきでしょうか?「素敵な高分子ギフト」の企画に乗って、当社の新しいハブラシを紹介いたします。そのほかにも、高分子が重要な役割を果たしている製品をセットにしました(図1)。2.奥歯の奥までみがけ!2.1前歯より奥歯が失われやすい?成人の歯は平均して上下14対で28本、親不知(おやしらず)があると32本というのが一般的です。実は、30~40代の働き盛り世代でも、最後臼歯(第二・第三大臼歯)を喪失する人が約1割も存在。その喪失リスクは前歯と比べて約10倍にもなります。奥歯を失うとどうなるのか。食べ物をかみ砕く力が大幅に低下するだけではありません。歯は上下が互いに支え合ってバランスを保っているため、一本でも失うとかみ合わせのバランスが崩れ、喪失した歯の隣から次々と傷んできます。奥歯を失うことによる影響度は大きいのです。奥歯を失うおもな原因は、むし歯と歯周病です。どちらも歯垢の蓄積によって病気の進行が促進されます。歯の表面への歯垢の蓄積はミュータンス菌の温床となり、その産生する酸で歯の表面が浸食され、むし歯の原因となります。また、歯と歯肉の境目(歯周ポケット)に蓄積した歯垢は、歯肉に炎症を起こし、徐々に歯周病へと進行していきます。2.2奥歯の奥がみがきにくい理由口の一番奥にある最後臼歯の奥側(遠心部)まできっちりとみがくことができているか?歯みがき行動を徹底的に観察しました。その結果、ヘッドが厚く、ネックが太いハブラシは、歯や頬の内側に当たってしまうため、最後臼歯をみがくには、口を大きく開けるなどの工夫が必要であり、コンパクトサイズのハブラシでもみがきにくいことが確認されました。ハブラシの設計のさまざまな因子を検討し、ヘッド部を「薄く」、ネック部を「細く」することにより、格段にみがきやすくなると考え、極限までハブラシを小さくする製品開発に向け当社オーラルケア研究所の挑戦が始まりました。2.3奥歯の奥をみがけるハブラシを作る!1)一般的なハブラシはポリプロピレン(PP)樹脂を用いて成形されています。これにポリアミドなどの毛を二つ折にして金属のくさび(平線)で止めハブラシが完成します。ハブラシを薄く細くすると、毛が抜けやすくなる、あるいは、ハブラシとしての強度が確保できないなどの多くの課題が発生しました。そこで、多くのプラスチック材料を検討した結果、ポリアセタール(POM)を選定することに行き着きました。POMは、エンジニアリングプラスチックの一つで、機械部品としても使用されるほど硬いため、ハブラシとしての強度が保てます。しかし、結晶化の速い樹脂であるため取扱いは容易でなく、POMのもつ強度特性を最大限に引き出せるような成形条件の設定、さらにハブラシに傷が入った場合など、お客様の使用場面を想定したあらゆる試験条件を設定し、多面的な評価試図1ギフト製品図2ハブラシヘッドの厚みの違い右:新製品クリニカアドバンテージのヘッド左:従来品クリニカフラットカット4列のヘッド高分子62巻12月号(2013年)c2013 The Society of Polymer Science, Japan731