ブックタイトル高分子 POLYMERS 62巻12月号

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高分子 POLYMERS 62巻12月号

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高分子 POLYMERS 62巻12月号

COVER STORY: Topics and Productsトピックスプとも、長期耐久後も膨張倍率に変化はなく、安定した性能を示すことがわかります。をとることができるので、配管やダクトスペースなど、設計の自由度が高めることができます。パイプが防火区画(壁・床)を貫通し、穴を開けた部位では、延焼防止措置として区画貫通処理材が必要になります。図4は、さや管用の施工モデル図です。従来品では鉄枠やパテ等の数点の部品をパイプサイズごとに用意し取り付け手間のかかる方法でしたが、フィブロックを用いると、パイプ径によらず1種類のテープを1周巻いてモルタルで埋め戻すだけという簡単な施工で完了します3)。図2膨張性能の耐久性(85度85%RH)3.耐火材料として応用元々はオレフィンの難燃化技術を深化させる過程で生まれた技術でしたが、住宅部門の開発担当者との会話の中で「もっとたくさん配合したらどうなるの?」という一言が「難燃」から「耐火」へ材料が進化するキッカケになりました。セレンディピティと言えるかもしれません。そして、製品化へのキッカケは、大手プレハブメーカーの開発責任者が、本材料の薄さに注目してくれたことです。通常は薄いシートを耐火に使うことで壁の厚みや開口部(ドアや窓)の大きさを変更せずに耐火建築物を設計できるようになり、部材や建具のコストアップを抑えることができるようになったわけです。今では、「薄さのメリット」に気づかれた多くの住宅ユーザー様に使っていただいています。図3に一般鉄骨造の鉄骨梁の耐火被覆材として施工した事例を示します。図3鉄骨梁の耐火被覆施工事例膨張材料の両面をアルミガラスクロスで積層した厚さ1 mmの耐火被覆材にて1時間耐火構造の大臣認定を取得しています2)。天井と梁の間に大きなスペース図4区画貫通処理材さや管用の施工モデル例区画貫通部の処理材としては、さや管以外に塩ビ管やポリエチレン管、ケーブル等のパイプに、そしてALC、コンクリート、中空壁等の壁にも適用できるように種々の認定を取得しています。4.あとがき我々が開発した熱膨張耐火材の施工実績は10万戸以上になります。多くの住宅メーカー様や建築設計事務所様、部材メーカー様から声をかけていただき、目地材、防火ドア、防火窓等、種々の用途に適用してまいりましたが、失敗したテーマも数知れず……。くじけずにここまで来られたのは、2000年の建築建材展で何千人ものお客様に熱狂的に支持していただき、メンバー全員がこの材料の成功を確信したからだと思います。「気持ちを一つにすること」こそ、開発成功の一番の原動力ではないでしょうか。今後もお客様の支持をいただいて、建築物の安全性向上と、施工性の向上に寄与することを期待しています。1)“建物と火災”,日本火災学会,共立出版,東京(2007)2)国土交通大臣認定番号FP060BM-02793)国土交通大臣認定番号PS060WL-0066文献736 c2013 The Society of Polymer Science, Japan高分子62巻12月号(2013年)