ブックタイトル高分子 POLYMERS 62巻12月号

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高分子 POLYMERS 62巻12月号

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高分子 POLYMERS 62巻12月号

Scientific News凝固したハイドロゲル中でタンパク質結晶を育成させる新規結晶化技術を開発Polymer Preprints, Japan, 62, 4397(2013)杉山成1*・清水典子2・佐崎元3・廣瀬未果1・高橋義典2・丸山美帆子2・松村浩由2, 4・安達宏昭4・高野和文4, 5・村上聡4, 6・井上豪2, 4・森勇介2,4タンパク質の立体構造情報を原子レベルで得るための最も強力な手段はX線結晶構造解析である。しかし、タンパク質結晶は豆腐のように脆いため、短時間で高精度なタンパク質構造情報を得る技術は確立されていない。この不安定性の問題を解決するために溶液中で育成させることが常識とされてきたタンパク質の結晶化を、完全に凝固したハイドロゲル中で育成させる新しい結晶化技術を開発した。この技術によって育成した結晶は、浸透圧ショック耐性や機械的強度の上昇など、従来の方法では実現不可能な課題を解決した。さらに、凝固した化学合成ポリマー中での結晶化にも成功し、汎用性に優れた技術であることを証明した。これらは、疾患関連タンパク質と新薬候補化合物との複合体結晶を容易に準備できる可能性があり、膨大な化合物ライブラリーから新薬候補を探し出す「創薬スクリーニング」への応用が期待される。1大阪大学大学院理学研究科2大阪大学大学院工学研究科3北海道大学低温科学研究所4株式会社創晶5京都府立大学大学院生命環境科学研究科6東京工業大学大学院生命理工学研究科*E-mail: sugiyama@chem.eng.osaka-u.ac.jp科学新聞,2013年9月13日週刊4面化学工業日報,2013年10月11日朝刊3面世界初、透明で丈夫な形状記憶ゲルを開発―眼内レンズなどに応用へPolymer Preprints, Japan, 62, 4297(2013)宮瑾1*・横尾友博1・村田奨太1・渡邉洋輔1・ムハマドハスナットカビル1・牧野真人1・村瀬響子2・砂田力2・古川英光1形状記憶ゲルは、人工筋肉やロボットへの応用が期待される夢の素材として1990年代に開発されたが、内部構造の不均一性により白濁して不透明であり、割れやすいという欠点があった。本研究グループでは、溶媒を使わない合成法で不均質化を回避し、約50%の含水率で高い透明性をもちながら、大気圧の200倍以上の圧縮に耐えられる形状記憶ゲルの開発に成功した。また温度変化による透明?不透明の自在制御にも成功した。モノマーの種類や比率を変えることでスイッチング温度を0℃~60℃の範囲で広く制御でき、温度感応型の光学・遮光材料として活用できる。この透明な形状記憶ゲルで眼内レンズの開発に着手した。眼内レンズは、白内障手術で水晶体を摘出した後に挿入するもので、現在使われている眼内レンズは硬質プラスチック製で固く、術後は焦点調節ができなくなる欠点がある。透明な形状記憶ゲルレンズなら柔らかさを自由に調整でき欠点の克服につながる。さらに折り畳んで挿入した後に加熱のみで自動的に広げることができるのでスマートな手術が可能になる。将来は本研究グループが開発を進めている3Dゲルプリンターの技術を活用することで、オーダーメードの眼内レンズの3D印刷が実現すると考えている。化学工業日報,2013年9月4日朝刊1面山形新聞,2013年10月1日朝刊1面朝日新聞(山形),2013年10月3日朝刊25面NHKニュース(山形),2013年10月5日朝1山形大学大学院理工学研究科2株式会社ニデック*E-mail: jingong@yz.yamagata-u.ac.jp高分子62巻12月号(2013年)c2013 The Society of Polymer Science, Japan759