ブックタイトル高分子 POLYMERS 62巻10月号
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高分子 POLYMERS 62巻10月号
展望COVER STORY: Highlight Reviews分野では必ずしも一般的ではないが、建築分野では熱量計算の際に使われる。3.高反射率塗膜の構造3.1塗料塗料は、顔料・樹脂・添加剤・溶剤から作られており、このうち塗装中に揮発する溶剤以外の成分が、最終的に塗膜として残る。3.1.1顔料塗料を高反射率化する上で最も重要なのは、高反射率顔料の選定である。従来、高反射率塗料を設計する際には、市販されている顔料から反射率の高い顔料を選別し、単独または混合して用いてきた。しかし、近年では、色彩(380~780 nm)を考慮しながら近赤外域(780~2500 nm)でより高い反射率を示す新しい顔料(有機・無機・複合)の探索・開発が進められており、これを高反射率塗料の顔料として採用する例が増えてきている。図2に具体的事例を示す。3.1.2樹脂高反射率顔料を包み込む樹脂には、劣化しにくく、汚染されにくい、もしくは簡単な洗浄で汚染が除去されやすい樹脂を選択すべきである。高反射率塗料は、経時により反射率が低下し効果が減少する。環境にも左右されるが反射率低下の主因は塗膜の汚染であるためである。汚染は塗料の種類によって異なるので、採用時にJIS K 5675「屋根用高日射反射率塗料」5)などを参考に最良の塗料を選択するのが望ましい(JIS K 5675では耐候性によって高反射率塗料を等級分類している)。図3に促進試験での光沢保持率変化を示す。3.2塗装高反射率塗料の機能を発揮するためには、単に塗料が高反射率化されているだけではなく、塗膜も高反射率化されている必要がある。塗膜の反射率に最も寄与するのは最表層となる上塗塗膜の反射率であるが、塗膜の反射率は、下地の反射率と塗料の顔料濃度および塗装膜厚によっても大きく変化する。上塗塗料のみの高反射率化でなく、塗料メーカーは塗装系として高反射率塗膜を設計することが重要で塗膜を最大限に高反射率化できるかを理解しなければならない6)~9)。図4に塗装各工程の重要性を示した。3.3塗膜の省エネルギー効果従来塗装車と高反射率塗装車との温度差実測結果を図5に示した。この結果から空調削減効率を算出して行く。注意すべきは、走行速度と効果に違いが出るので参考文献8)~10)を参考にして欲しい。図2高反射率顔料と一般顔料の比較図4自動車ボディ塗装への応用図3スーパーUVでの光沢保持率変化図5従来塗装車と高反射率塗装車との温度差(2006年1月)高分子62巻10月号(2013年)c2013 The Society of Polymer Science, Japan599