ブックタイトル高分子 POLYMERS 62巻10月号
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高分子 POLYMERS 62巻10月号
COVER STORY: Highlight Reviews展望4.評価・基準4.1塗料機能性塗料である高反射率塗料に関して最も重要となるのは、日射反射率の測定方法である。初期には反射率の測定方法が統一されていなかったため、性能の善し悪しが判断できなかったが、2008年9月20日にJISK 5602「塗膜の日射反射率の求め方」11)が制定され、公的機関である日本塗料検査協会などで、日射反射率を評価できるようになった。さらに、2011年7月20日にJIS K 5675「屋根用高日射反射率塗料」5)が制定され、製品としても日本塗料検査協会などで評価できるようになった。また、大阪ヒートアイランド対策技術コンソーシアムでは平成23年9月30日発表「ヒートアイランド対策技術認証制度」をスタートさせ、すでに認証された製品が出てきた。4.2塗膜塗膜の劣化により日射反射率は低下するため、塗装後の日射反射率の測定も重要である。塗膜の日射反射率は塗料と異なり、現場で計測する必要があるが、これまで測定方法は定められてこなかった。しかし、近年、米国において、米国材料試験協会(American Society for Testing and Materials, ASTM)が平面での計測方法をASTM C-1549として、また傾斜面での計測方法をASTM E-1918として制定した。日本においても、現場での測定方法に関する研究(平面12)、折板面)が進められ、計測基準の制定には至っていないものの、塗装後の効果が検証できるようになってきた。5.おわりに公的機関によって塗料の評価基準が制定され、塗料メーカーによって高反射率塗料が開発・出荷されているが、高反射率塗料を有効に活かすためには、施工後に関する評価基準や技術も必要である。すなわち、施工後・経年劣化後の現場での塗膜の反射率測定基準の制定12)や、塗料メーカーや施工会社による効果的な劣化防止技術の開発が望まれる。施工後の基準が制定され、防汚技術が開発されれば、高反射率塗料は施工後も含めて機能を管理できるようになり、さらなる市場拡大につながるだろう。社会も、色彩のみを考慮して塗料を選定するのではなく、気候変動や節電に配慮して高反射率塗料を採用するように変化することを期待したい。文1)気候変動に関する政府間パネル(IPCC),第4次評価報告書統合報告書(AR4)政策決定者向け要約,文部科学省・経済産業省・気象庁・環境省訳(2007)2)中央環境審議会地球環境部会,気候変動に関する国際戦略専門委員会(第17回会合)資料2国際連合安全保障理事会公開討論,「エネルギー、安全保障、気候」について(2007)3)American Society for Testing and Materials(ASTM), ASTM G173-03 Standard Tables for Reference Solar Spectral Irradiances: DirectNormal and Hemispherical on 37°Tilted Surface, http://rredc.nrel.gov/solar/spectra/am1.5/(2003)4)American Society for Testing and Materials(ASTM), ASTM E490-00Standard Solar Constant and Zero Air Mass Solar Spectral IrradianceTables, http://rredc.nrel.gov/solar/spectra/am0/(2000)5)日本工業標準調査会, JIS K 5675屋根用高日射反射率塗料(2011)6)日本建築学会環境工学委員会都市環境・都市設備運営委員会クールルーフ評価小委員会,「クールルーフの適正な普及に向けたシンポジウム」資料(2008)7)井原智彦,三木勝夫,事務所建築物への高反射率塗料導入による夏季節電・年間省エネルギー効果の実測と分析,日本ヒートアイランド学会第6回全国大会予稿集, pp.170-171(2011)8)井原智彦,相田洋志,永山雅之,吉田好邦,松橋隆治,村瀬俊和,三木勝夫,長尾五郎,木下正勝,自動車ボディの日射反射率向上による省エネルギー効果に関する研究,自動車技術会論文集, Vol.36,No.4, pp.175-180(2005)9)井原智彦,長尾五郎,木下正勝,村瀬俊和,三木勝夫,自動車ボディの太陽熱高反射塗料適用によるCO 2排出削減効果,自動車技術会2005年春季大会材料フォーラム「自動車の軽量化に向けて―材料とつくりの技術―」, pp.40-45(2005)10)大阪ヒートアイランド対策技術コンソーシアム, http://www.osakahitec.com11)日本工業標準調査会, JIS K 5602塗膜の日射反射率の求め方(2008)12)村田泰孝,酒井孝司,金森博,竹林英樹,松尾陽,森山正和,吉田篤正,西岡真稔,矢野直達,清水亮作,三木勝夫,村瀬俊和, Akbari H,高反射率塗料施工面の日射反射率現場測定法に関する研究:標準板二点校正法の提案および水平面における精度確認,日本建築学会環境系論文集, Vol.73, No.632, pp.1209-1215(2008)13)建築環境・省エネルギー機構, CASBEE-HI評価マニュアル(2010年版)(2010)献600 c2013 The Society of Polymer Science, Japan高分子62巻10月号(2013年)