ブックタイトル高分子 POLYMERS 62巻11月号

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概要

高分子 POLYMERS 62巻11月号

COVER STORY: Topics and Productsトピックス図2キラルらせん高分子{(+)-poly[4-(cholesteryloxycarbonylamino)phenylacetylene],(+)-poly(ChOCAPA)}の動態解析.(a)高速AFM動画から連続した4枚を抜粋.X=280 nm,Y=210 nm,Z=16.8 nm,Rate=5.0 fps.(b)高分子鎖の重心(1)と体幹を等分割した計測点(2-18).(c)MSD-Δtのグラフ.図3高分子モーター.キラルらせん高分子鎖に沿って物質が輸送される現象のAFMイメージング.図中の矢印はプロセッシブ運動する分子の位置を示す.X=250nm,Y=188nm,Z=8.4nm,Rate=5.0fps.APS-マイカ基板,n-オクチルベンゼン中,25±1℃.(右下)キラルらせん高分子[(-)-poly(ChOCPA)]の化学構造.また歩行分子は分子量数万の(-)-poly(ChOCPA).4.高分子モーター合成高分子鎖1本の上を分子が歩いた(図3)5)。これは、室温の液中における高分子鎖に沿ったブラウン運動であるが、歩行分子は長時間高分子鎖から脱離することなくプロセッシブ運動し、高分子鎖がレールとなって歩行分子の運動方向を制御した。この合成高分子はペンダントとしてコレステリル基をパラ位に有する置換フェニルアセチレンポリマー[図3右下に化学構造:(-)-poly(ChOCPA)]であり、分子モーターの方向性制御に必要とされる構造の非対称性をもつキラルらせん高分子である。運動解析によって、歩行分子の変位に3 nmのステップが確認された。このステップサイズは、レール側の高分子鎖の表面に形成される周期構造のピッチと一致したことから、歩行分子がレール高分子の表面を足場としてかみ合いながらプロセッシブ運動しているものと考えられる(ここで*は、e!高分子のSupporting Informationにハイパーリンクされています。言うピッチとは主鎖がらせんを巻くことで形成される高分子鎖表面の周期構造ピッチを指す)。この歩行分子の拡散係数はD=99 nm 2 /sと計測された。また動作原理はフラッシュラチェット機構で説明される。この結果は、微小空間におけるトランスポーターとしての応用のみならず、組織化によって構築される人工筋肉の実現の可能性を示す。文1)たとえば, K. Shinohara, S. Yasuda, G. Kato, M. Fujita, and H. Shigekawa,J. Am. Chem. Soc., 123, 3619(2001);Editors’Choice, Science 292, 15(2001)など2)篠原健一,特開2012-32389号3)K. Shinohara, Y. Makida, Y. Maruyama, M. Yanagisawa, H.Kuribayashi, and T. Kasahara, Polymer Preprints, Japan, 61, 3214(2012)4)篠原健一,特願2012-283897号,特願2013-86164号5)K. Shinohara, Y. Makida, and T. Oohashi, Polymer Preprints Japan, 60,3100(2011)献674 c2013 The Society of Polymer Science, Japan高分子62巻11月号(2013年)