ブックタイトル高分子 POLYMERS 62巻11月号

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概要

高分子 POLYMERS 62巻11月号

COVER STORY: Topics and Productsトピックス図4レジスト種類によるL/Sパターン現像挙動図2液中・高速AFMを用いた観察手法の手順では膨潤を抑えることが重要で、レジスト樹脂の親疎水性の制御が必須であることが示唆された1)。最新の研究では、AFM機器や手法に改良を加えたことにより、ライン・スペース(L/S)パターンの現像過程観察にも成功した。L/Sパターンの現像過程観察は3種のレジストで行い、すでに得られている孤立ラインの結果と比較したところ、それぞれのレジストで同様の現像挙動を示していることがわかり、本手法の有効性が確認された4)(図4)。図3レジスト樹脂の違いによる溶解挙動レジスト樹脂の違いによる現像挙動への影響を検証した。その結果、レジスト樹脂によって、溶解挙動が大きく異なることがわかった(図3)。疎水性の高いメタクリル系のレジストや、親水性の高いPHS系は、現像中にレジスト膜の膨潤は確認されなかったが、ハイブリッド系はレジスト膜が大きく膨らむ明らかな膨潤が観測された。メタクリル系は、レジスト膜が疎水性であるため、レジスト膜中に現像液を多く保持できないため膨潤しなかったと考えられる。またPHS系は親水性が高いため、レジスト膜中に現像液を取り込む前に溶解したため膨潤しなかったと考えられる。しかしハイブリッド系は、レジスト膜中に疎水性部位と親水性部位が混在するため、親水性部位によって現像液を取り込むが、疎水性部位が現像液に溶解しにくいため、膨潤したと考えられる。レジスト膜の膨潤は、パターン倒れやLWRの悪化に関与しており、これらのことから、レジスト開発3.おわりに高速AFMを利用することにより、レジストの現像過程をリアルタイム観察できることを示した。また、現実の集積回路パターンに近いL/Sパターンにおいても現像過程の観察を可能としたことは大変意味深く、これによりパターンの微細化・高精度化に大きく貢献することが期待される。謝本研究は、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の支援を受けて行った。文1)T. Itani and T. Kozawa, Jpn. J. Appl. Phys., 52, 010002(2013)2)T. Ando, et al., Pflugers Arch., 456, 211(2008)3)T. Itani and J. J. Santillan, Appl. Phys. Express, 3, 061601(2010)4)J. J. Santillan and T. Itani, Proc. SPIE, 8682, 86820I(2013)辞献680 c2013 The Society of Polymer Science, Japan高分子62巻11月号(2013年)