ブックタイトル高分子 POLYMERS 62巻11月号
- ページ
- 32/80
このページは 高分子 POLYMERS 62巻11月号 の電子ブックに掲載されている32ページの概要です。
10秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
このページは 高分子 POLYMERS 62巻11月号 の電子ブックに掲載されている32ページの概要です。
10秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
高分子 POLYMERS 62巻11月号
COVER STORY: Topics and Productsトピックス3.絶縁体材料の観察例4.ナノテクプラットフォームでの共用絶縁体の観察例として、図2にポリスチレンナノ粒子のSHIMによる二次電子像およびSEM像を、図3にヤモリの足の指の裏のSHIMによる二次電子像を示す。比較のためのSEM観察は、日立SU-8000で行った。SHIM二次電子像では、画像の1ラインごとにヘリウムイオンビームと電子線を交互に照射している。電子線による中和を行わなかった場合、チャージアップにより観察し始めると直ちに画像が暗くなってしまった。ポリスチレン粒子の数が少ない部分では、中和を行わなくても粒子は確認できるものの、やはり暗くなってしまうので、微細な形状などは観察できなかった。SEMでは、ポリスチレン粒子が3層程度まではコーティングなしで観察することができたが、焦点深度は浅かった。ヤモリの試料はコーティングなしではSEM観察は不可能であった。この装置は、平成22年度に文部科学省による低炭素化研究ネットワーク事業の低炭素化材料設計・創製ハブ拠点の装置として物質・材料研究機構に導入され、共用が開始された。世界でも二十数台、国内では本稿執筆時において2台と、まだ珍しい装置であり、共用装置となっているのはこれだけである。平成24年度からは、同じく文部科学省のナノテクノロジープラットフォーム事業4)の微細構造解析プラットフォームに登録され、外部共用を行っている。ナノテクノロジープラットフォーム事業とは、ナノテクノロジーに関する最先端の研究設備とその活用のノウハウを有する機関が緊密に連携して、全国的な設備の共用体制を共同で構築するものである。産学官の多様な利用者による設備の共同利用を促進し、産業界や研究現場が有する技術的課題の解決へのアプローチを提供するとともに、産学官連携や異分野融合を推進することを目的としている。文部科学省が国の事業として支援を行うものであるため、利用料金は低価格であるが、成果公開が原則である。ただし、特許出願や論文投稿などのため、成果の公開を2年程度延期することが可能である。NIMS微細構造解析プラットフォーム最先端ナノマテリアル計測共用拠点のWebサイト5)から簡単な課題申請により利用することができる。また、事前に無料で利用相談を受け付けている。5.おわりに図2ポリスチレンナノ粒子のSHIM二次電子像(a)とSEM像(b)(c)図3ヤモリの足の裏のSHIM二次電子像走査型ヘリウムイオン顕微鏡は、一般的な走査型電子顕微鏡と同様な操作性をもちながら、数十倍の分解能があり、焦点深度が深く物質コントラストが付きやすいなど、ナノメートルスケールの表面形状や組成を観察するのに適した装置である。絶縁体をコーティングなしに観察できるため、絶縁体が多い高分子材料の研究に力を発揮すると期待される。この装置は、NIMS微細構造解析プラットフォームの共用装置となっており、簡単な申請により低価格で利用することができる。無料で利用相談を受け付けているので、気軽に相談していただきたい。文1)B. W. Ward, et al., J. Vac. Sci. Technol., B24, 2871(2006)2)L. Scipioni, et al., J. Vac. Sci. Technol., B27, 3250(2009)3)Characterization of Materials 2 nd ed., E.N. Kaufmann(eds), John Wiley& Sons, Hoboken(2012)20914)https://nanonet.go.jp/5)http://www.nims.go.jp/nmcp/献682 c2013 The Society of Polymer Science, Japan高分子62巻11月号(2013年)