高分子 Vol.65 No.5
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特集 ものづくりはここから:ゴム状態の科学
高分子のゴム状態は、低分子有機物質、無機物質には見られない、高分子の紐としての性質を色濃く反映した状態であり、科学・技術の一翼を担うゴム分野の礎となっている。このゴム状態に特徴的なゴム弾性は長くて柔軟な高分子の熱運動を活発にしながら流動を抑制することにより発現することが見いだされ、ゴム弾性論が成立し、ゴムに関する基礎研究は終息したと考えられていた。しかしながら、過酷な環境で使用される飛行機や大型バスのタイヤ等には、天然ゴムが唯一の原料として未だに重用され、ゴム弾性論に基づいて最新の精密重合技術により合成されたゴムであっても要求を満たすことはできていない。それゆえ、ゴム状態の本質を理解し、ゴム弾性の真の発現機構やそれに影響を及ぼす因子を解明することは、ゴム、ひいては、高分子における新たな物質創成のパラダイムの構築に繋がる重要な課題であると考えられる。本特集では、現時点でのゴム状態の科学を展望し、高分子の原点を探る。
河原・小椎尾・酒井・田中・角田
Digest for English Readers
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Hot Topics
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素描
ゴム:古くて新しい高分子 伊藤 耕三
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展望
高分子網目系ソフトマテリアルの大変形挙動の解析 浦山 健治
215
ゴム-ガラス転移のレオロジー 宮本 嘉久
218
フィラー充填ゴムの階層的網目構造 五十野 善信
221

Polyman 画
224

トピックス
天然ゴムの伸長結晶化における新概念 登阪 雅聡
225
ゴム材料開発のための粗視化シミュレーション技術 森田 裕史
227
加硫天然ゴムの架橋点の構造と物性 河原 成元
229

グローイングポリマー
海外研究で感じたこと 河野 慎一郎
231

先輩からのメッセージ - 仕事しごと 私事しごと
人生90年時代のしあわせのカタチ 森山 文恵
232

高分子科学最近の進歩
ポリウレタンの科学 小椎尾 謙
233

私の本棚から 明石 満 / 勝本 之晶
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