Computer Aided Engineering (コンピュー夕支援工学)の略.初期にはCAD(コンピュータ支援設計)と呼ばれた時期もあったが,さらに一般的に工学を支援する意味のCAEという言葉が,1980年代初頭から流行し始めてすぐに定着した。高分子成形加工のCAEは,製品設計や金型設計に必要な高分子の挙動をコンピュータシミュレーションしようというものである。CAEにより,高分子製品開発における材料,製品設計および成形加工という3つの要素をコンピュータシミュレーションで最適化する。すなわち,材料選定,製品設計,金型設計,成形加工条件の選定,および製品の性能確認・評価の段階でCAE技術が用いられる。これらによって,設計期間の短縮や金型コストの削減,精度向上を図る。高分子レオロジーは,材料の粘弾性および流動挙動を通じて,材料選定,成形加工条件の選定と深く関連する。レオロジーデータはインプットすべき物性データの1つとして,解析結果に与える影響が大きい。また,解析の基礎式の1つである構成方程式を通じて,あらゆるCAE解析と関連する。高分子加工CAEのプログラムが世界で最初に開発されたのは1978年のことであり,以後,射出成形CAEを中心に発展し,現在ではブロー成形CAEの開発も行なわれている。射出成形CAEの場合,初期には流動解析を中心としたものが多かった。しかし,現在では成形品の設計から製造さらには評価までコンピュー夕支援で行う統合システム技術として発展している。
Kobunshi, Vol.42 , p.763 (1993)
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