ポリワーズ C 

ポリワーズ

〔C〕


CpGDNA<p666>
CpGDNAは,メチル化されていないシトシン,グアニンの連続した塩基配列で,細菌に独特な塩基配列である。脊椎動物ではほとんどの場合,メチル化されており,われわれの免疫系はこのCpGDNAを異物として認識する。CpGDNAはエンドサイトーシスの経路の後期エンドソームに存在するToll-like receptor 9を介してTh1(細胞性免疫)優位な免疫応答を惹起することが知られている。この応用として,CpGDNAをアジュバントとして抗原に結合させ,アレルギー反応を抑制することに用いられる。アレルギーはTh2(液性免疫)への過度の傾斜から起きると言われており,抗原特異的にTh1へ戻すことを目指している。また,インフルエンザのワクチンのアジュバントとしての利用も考えられている。 Kobunshi,Vol.58,p 682 (2009)

CAE<p736>
Computer Aided Engineering (コンピュー夕支援工学)の略.初期にはCAD(コンピュータ支援設計)と呼ばれた時期もあったが,さらに一般的に工学を支援する意味のCAEという言葉が,1980年代初頭から流行し始めてすぐに定着した。高分子成形加工のCAEは,製品設計や金型設計に必要な高分子の挙動をコンピュータシミュレーションしようというものである。CAEにより,高分子製品開発における材料,製品設計および成形加工という3つの要素をコンピュータシミュレーションで最適化する。すなわち,材料選定,製品設計,金型設計,成形加工条件の選定,および製品の性能確認・評価の段階でCAE技術が用いられる。これらによって,設計期間の短縮や金型コストの削減,精度向上を図る。高分子レオロジーは,材料の粘弾性および流動挙動を通じて,材料選定,成形加工条件の選定と深く関連する。レオロジーデータはインプットすべき物性データの1つとして,解析結果に与える影響が大きい。また,解析の基礎式の1つである構成方程式を通じて,あらゆるCAE解析と関連する。高分子加工CAEのプログラムが世界で最初に開発されたのは1978年のことであり,以後,射出成形CAEを中心に発展し,現在ではブロー成形CAEの開発も行なわれている。射出成形CAEの場合,初期には流動解析を中心としたものが多かった。しかし,現在では成形品の設計から製造さらには評価までコンピュー夕支援で行う統合システム技術として発展している。 Kobunshi, Vol.42 , p.763 (1993)

Contour長<p972>
高分子鎖のcontour長とは、鎖に沿って測った長さのことである。高分子からみ合い系における土井-Edwards理論では,素鎖のcontour長は重要な役割を果たす。ここで素鎖とは高分子鎖を粗視化したものであり,具体的には分子鎖上のからみ合い点を結んでできる仮想の鎖である。ただし,素鎖の末端間距離は実際の鎖の末端間距離と同じにとる。一分子あたりのからみ合い点の数をN,からみ合い点間距離をaとして,素鎖のcontour長LはL=Naとなる.Nは分子量に比例し,aは分子量によらないから,Lは分子量に比例する。また,Nは高分子の濃度の増加と共に増加し,aは濃度と共に少し減少するから,Lは濃度と共に少し増加する。単位体積あたりの分子数νは濃度に比例し分子量に反比例するから,単位体積あたりのcontour長νLは,分子量によらず,濃度のやや強い増加関数となる。GraessleyとEdwardsは,単位体積あたりの分子間相互作用の数とνLを関連づけている。階段状の大変形を与えたとき,素鎖のcontour長はまず外部変形と相似に仲び,その後鎖の長さの収縮緩和により平衡長Lまで緩和すると考えられている。
Kobunshi, Vol.42 , p.986 (1993)