ポリワーズ G 

ポリワーズ

〔G〕


Griffith理論<p384>
この理論が発表される1920年以前の破壊の条件(基準)は,物体内に発生した最大主応力(あるいは最大せん断応力)が,材料に固有な破壊応力を越えたときに起きるものとしていた。この説に従えば応力分布の相似性から,物体寸法が変化しても破壊応力は変わらないはずであるが,現実には当てはまらないことが多かった。当時は破壊基準応力の取り方に問題があるとしてさまざまな破壊条件式が提案されていたが,Griffithは,これらとまったく違う考え方により破壊条件式を導いた。すなわち,微小クラックが材料内部に潜在することを仮定し,この材料を変形させたとき,蓄えられた弾性ひずみエネルギーの減少が,新しく表面を形成するのに必要なエネルギーより過剰になると,クラックが不安定に成長して破壊を生ずるとしたものである。これにより,破壊応力は初めて材料物性値である弾性率と表面ネルギーおよび潜在クラック長さにより定式化された。完全弾性体モデルとしてガラスによる実験から理論の正しさは証明され,その後Orowanらにより実際の材料に近い弾塑性体について拡張された。現在,この理論の基本はタフネス評価の技法として確立している破壊力学にも引き継がれている。 Kobunshi, Vol.42 , p.416 (1993)

GRIN媒体<p82>
GRINとは,Graded-Index(屈折率分布)の略語であり,媒体中において屈折率分布を有する材料を,GRIN媒体という。GRIN媒体は,材料の形状のみで光線の制御を行う均一屈折率媒体に対し,光線が屈折率の高い方ヘ徐々に曲がる性質を利用して,材料中で光線の進む方向を制御することができる。光線の制御は屈折率の分布をコントロールすることにより行い,その形状は,用途に応じてさまざまである。例えば,同心円状に屈折率分布を有する円柱状のGRIN媒体の場合中心軸付近ほど屈折率が高くなるような分布を持たせると,円柱の端面に入射した光線は,一定の周期をもって中心軸に沿って蛇行しながら進む。つまり両端面が平らであるにもかかわらず,凸レンズと同様に平行光線を集光することができる。  このように,GRIN媒体では,材料の形状に依存せずに光線を集光あるいは発散させることが可能となり,より精密な光線の制御を実現する光学ポリマー材料として注目されている。応用例として,高速伝送用ポリマー光ファイバー,遠近両用コンタクトレンズ等が実際開発され,その著しい光学特性の向上が確認されている。 Kobunshi, Vol.43 , p.112 (1994)