ニューラルネットワークとは,神経回路網(多数の神経細胞:ニューロンの結合)の工学的モデルを利用して,人間などの脳で行われているのと同等の学習,並列処理,分散処理を行う情報処理システムである。従来のコンピュータによる情報処理は論理的思考に例えられる記号を用いた逐次直列方式の処理で,コンピュータ技術の発展と共に大いに利用されてきた。これに対し,ニューラルネットワークは直感的思考ともいうべき情報処理を行うことを目指しており,従来の逐次直列方式の情報処理では解決困難であった問題を解くことができると期待されている。
ニューラルネットはニューロンの結合方式による階層型ネットワーク(層状に結合されたニューロンで情報が一方向のみに伝達)と,相互結合型ネッットワーク(ニューロンが相互に結合)に分類される。p型ネットワークは,最近はバックプロパゲーション(誤差逆伝播)法による学習を利用して,予測,i形モデル化,パターン認識などへの応用がさかんである。相互結合型ネットワークは組み合わせ最適問題などへの実用化が進められている。
Kobunshi, Vol.43, p.804 (1994)
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