ポリワーズ P 

ポリワーズ

〔P〕


Protein splicing
Protein splicingは,翻訳後のタンパク質が自己触媒的に自己を編集し,新たなタンパク質を生成する機構であり,種を超えて多くの生物で起きている化学反応である。前駆体ポリペプチド内にあるinteinと呼ばれる配列が,そのN末側とC末側に続く配列であるN-exteinとC-exteinを切り出し,それらをペプチド結合により組み継ぎexteinを生成する。現在までに数多くのintein,extein配列が報告され,それらの各末端アミノ酸にはいくつかの特徴がある。また,化学反応機構はNMRを用いた中間体の解析などにより解明されてきている。Vol.58, No.3, P.125


Plateau-Rayleigh instability
プラトー・レイリーの不安定性」は単に「レイリーの不安定性」とも呼ばれ,一筋の水流が液滴に変化する理由を説明する理論である。この現象は,ベルギーの物理学者ジョゼフ・アントニー・フェルデナント・プラトー(1801~1883)によって1856年に発見された。垂直に流れ落ちる水の円柱の筋は,その長さが直径のπ倍より大きくなると液滴に変わるというもので,後にレイリーによって理論的に証明された。そうしてできた液滴は,元々の円柱よりも小さな表面積をもつ。円柱が液滴に変わるのは,円柱の太さが周期的に変わることと,ノズルの形に依存する。この現象は,日常でも水道の蛇口や噴水などでよく見られる。 プラトーもレイリーも予想だにしなかったであろうが,この理論は後年インクジェットプリント技術(つまり1951年にシーメンス社が開発したコンティニュアス型インクジェットプリンター)に多大な影響を与えることになる。このプリント技術でも同様の原理が働き,インク液の噴出がノズルで振動などの影響を受けて円柱の太さに変動が生ずると,ピコリットルサイズの液滴が形成される。Vol.58, P.461