ポリワーズ R 

ポリワーズ

〔R〕


RISM<p469>
オイラーの定理によれば,幾何学的には5角形と6角形だけから構成される閉じた多面体は,12個の5角形が必ず必要であるという制限がある以外は無限に存在する。しかし,実 際には実験で得られる球状炭素物質フラーレンは,C60を始まりとしてC 76, C 78, C 82・‥という様に特定の構造のものだけが存在することが判明している。これを説明する生成機構の1つとして都立大学のグループから提案されているものがRing Stacking Model(RISM)と呼ばれるもので,次の仮定に根拠を置くものである。(1)炭素ネットワークの成長は,偶数の数の環状炭素クラスタだけの積み重ねで進行し,その際には炭素元素の損失は起こらないものとする。(2)炭素ネットワークの形成は,5角形が隣合わないというIsolated Pentagon Rule (IPR)に従う。仮定されているのはこの2項目だけであるが,これまで得られている実験結果をフラ-レンの対称性まで含めて説明できることから,大いに注目されている。また,最近ではLaC 82 などの金属内包フラーレンの生成機構への適用が検討されている。 Kobunshi, Vol.42 , p.489 (1993)