ポリワーズ X 

ポリワーズ

〔X〕


XPSとUPS<p343>
X ray Photoelectron Spectroscopy = X線光電子分光,Ultravialet Photoelectron Spectroscopy = 紫外線光電子分光のことである。XPSのことをエスカESCA(Electron Spectroscopy for Chemica1 Analysis)ともいう。  超高真空(10-6~10-9Pa)内に置かれた固体試料に軟X線(たとえばMgやAlの特性X線1253.6 eV,1486.6eV)や紫外線(たとえばHeⅠ,Ⅱ,21.22 eV,40.81 eV)を照射し,光電効果(正確には外部光電効果)によって放出される電子(光電子という)の運動エネルギーをエネルギーアナライザ(たとえば静電半球アナライザ)によって側定する。光電子エネルギーは結合エネルギーと入射光エネルギーによって決まるので,試料表面原子の電子の結合エネルギーがわかることになる。XPSは20~30Å層の元素分析と化学状態分析(価数や結合状態)ができる。特に状態分析は最も得意とするもので,金属はもちろん,高分子・絶縁物分野に広く応用されている。Arイオンを表面に照射して表面原子を次々とスパッタすることにより,表面から内部への成分・状態変化を求めることもできる。UPSは価電子帯や分子軌道の基礎研究に用いられるが,表面感度が高い反面,汚染の影響を受けやすく,清浄でよく定義された表面が対象となる。
Kobunshi, Vol.41 , p.350 (1992)