遷移金属触媒重合の新展開 Recent Developments in Transition Metal-Catalyzed Polymerization

特集号「遷移金属触媒重合の新展開」の発行にあたって

 重合触媒の進展は目覚ましく,ポリオレフィンの分野では担持型高活性触媒の出現によるプロセス革新からさらにはメタロセン触媒に代表されるように触媒の構造制御(分子設計)によるポリマーの立体規則性や共重合制御が可能になってきています.最近,前周期のみならず後周期遷移金属の高活性触媒が非メタロセン系で見つかったり,高温リビング重合触媒が見つかるなど大きな進展が続いています.遷移金属触媒を利用した精密重合は,メタロセン,非メタロセンを始め,不均一系触媒との複合化など一段と進んでおり,規則性・分岐構造・組成・共重合制御(オレフィンのみならず極性モノマーとの共重合)の他,各種モノマーへの展開と多岐にわたり,制御された新たな構造体(材料)創製技術としての期待も高まっています.一方,縮合重合の分野においても遷移金属触媒を用いた酸化重合など進展がみられ,遷移金属触媒重合に関する研究は一段と盛んになっています.

 本特集は,このように大きく活発化してきている「遷移金属触媒重合の新展開」について,最新研究を包括的に眺め,体系的にまとめる機会を得るために企画,立案されたものです.

 本企画にご賛同いただき,投稿された多くの論文に対して審査を行った結果,総合論文14,一般論文13,ノート3の合計30の報文が,4月号および6月号に掲載される運びとなりました.内容的にも,企画の趣旨に沿い,触媒種としてはメタロセン,非メタロセンを含め多くの遷移金属化合物種,モノマー種としてはオレフィン,スチレン,ジエン,極性モノマーなど,重合方法としても配位,縮合など幅広い範囲をカバーすることができました.また,本特集では,企業の方からの活発な投稿がなされていることや体系的にまとめられた総合論文が多いのも特徴です.本特集は遷移金属触媒重合の研究の現状を把握し,この分野のさらなる発展,基礎研究の充実,さらには工業的・実用的応用に役立てていただけると考えております.

 末筆ながら,本特集号の刊行にあたり,ご投稿いただきました多くの著者の皆様,ならびに論文審査にご協力くださった皆様に深く感謝いたします.

(文責 蔵本正彦)

(担当委員 蔵本正彦,右手浩一,長崎幸夫,山中 亨)


高分子論文集20024月号および6月号を特集「遷移金属触媒重合の新展開III」として発行します.現在,定期購読されていない方にも,下記価格でお頒ちいたします.内容詳細は,下記目次をご覧下さい.

頒 価 4,500円(本体価格 4,286円)/冊[4月,6月号とも]

申込先 高分子学会 TEL:03-5540-3773 Fax:03-5540-3737 E-mail:memb@spsj.or.jp

 

遷移金属触媒重合の新展開 I

Vol. 59, No. 4 (2002)目次

遷移金属触媒重合の新展開 II

Vol. 59, No. 6 (2002)目次