[第17回ポリマー材料フォーラムポスター賞選考報告]

17PMF               
運営委員 伊藤公一
 発表件数は4セッションに202件であり、審査対象件数は165件であった。
 発表会場は常に活気に満ち、若い企業研究者を中心に多くの参加者が昼休みになっても熱心にポスター前で議論している姿が印象的であった。ポスターは内容的にもビジュアル的にも工夫され、またサンプルを展示するなど、聞く側への配慮がなされた発表が多く見受けられた。発表者の言葉と文字とモノでの説明は説得力があり、よく理解できた方が多かったのではないかと思われる。
 発表はポスターの掲示が午前午後合わせて6時間、その内、発表者自らがプレゼンテーションする時間が3〜4時間であった。コメンテーターが発表者のプレゼンテーション時間に合わせて訪問し、1件につき10分間、司会をする時に、複数の審査員が同行し、必要に応じて自ら質問を行うことにより審査を行った。疑問残る発表、もう少し詳細を聞く必要がある発表については、別の時間に質問をしている審査員が数多くみられた。
 表彰の基準を以下に示す。 @発表内容:新しい材料および技術としての可能性を見出した、あるいは予見させる高分子材料および関連技術であるか、Aプレゼンテーション:質疑に対する適切な応答、ディスカッションができたか、Bポスターの論理性・ビジュアル性:発表者がその場にいなくても一見して発表を理解できるような構成、並びに人を引きつける特徴的、魅力的なポスターであるか。
 優秀発表賞の選考は、セッションオーガナイザーが中心になり各セッション8〜10名の審査員が協力し、各セッションの全審査対象発表の中から複数の優れた発表を選び順位を付して選考委員会に持ち寄り審議し、優秀発表賞を決定した。今回ご参加頂いた6名のフェローの方々には多様な角度から審査・審議に加わって頂いた。
 各分野のバランスを重視し、AおよびBセッションは1〜2件、発表の多いCセッションは3〜4件、Dセッションは2〜3件を目安としたが、A、Bセッションから各1件、C、Dセッションから2件と、バランスよく選出された。また、選出されなかったポスターにも高い評価が集まったものがあったことを記しておきたい。表彰の方法については、あらかじめ高分子学会本部で議論され、対象は希望により発表者あるいは発表者のグループのいずれかとすると規定していたが、今回は、個人受賞件、グループ受賞件、であった。
 審査対象件数が例年の3〜5割増であり、全てのポスターを可能な限り同じ条件で審査することに努めたので、6名のフェローの方々ならびに審査員の方々の肉体的・精神的疲労は大きかったのではないかと思われる。厚く御礼を申し上げたい。
 最後に、受賞者はこれを機会にさらに飛躍していただきたい。また惜しくも選ばれなかった方々には、次回に向けての準備をお願いしたい。
 6件の受賞者は以下の通りである。


Aセッション ・ 様々なリグノセルロース資源の構造転換と特性の活用
(三重大院生物資源 JST-SORST 舩岡研究室)
青蜿[,任浩,科野孝典,室田将哉,往蔵麻衣子,竹内健吾,舩岡正光
Bセッション 高屈折率を有する透明エポキシ樹脂シール材の開発
(三井化学)高松靖,山本祐五,伊東祐一
Cセッション モノマー中で形成したコロイド結晶とそのポリマー固定化
(豊田中研)中村浩,月ヶ瀬あずさ,石井昌彦
メタセシス反応を用いた2級アンモニウム塩とクラウンエーテルからなるオルガノゲルの合成と応用
(山口大院理工)山吹一大,鬼村謙二郎,大石勉
Dセッション ・ 各種スルホン酸塩ポリマーのPC樹脂燃焼性に及ぼす影響   
(ソニー)稲垣靖史
・ PVAマトリクスを利用した蛍光発色性ナノ複合材料
(クラレ)森原靖,(同志社大院)森康維,弘田恭幸


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第17回ポリマー材料フォーラム