[第18回ポリマー材料フォーラムポスター賞選考報告]

18PMF               
運営委員 柴原澄夫
 今回は、発表件数204件、審査対象件数171件と過去最高件数であり、かつ内容的にも年々レベルが向上しており、優れた多数の発表の中から優秀賞の選考を行うというハードな審査となった。
 優秀発表賞の選考は、まずセッションごとにセッションオーガナイザーが中心になってフェローの方を含む10名以上の審査団で審査を行い、表彰対象全発表の中から順位をつけて優秀発表賞候補を複数選定した。次に各セッションから推薦された優秀発表賞候補を選考委員会にて審議し、優秀発表賞を決定した。
 審査団による審査は、コメンテータの誘導で行われるプレゼンテーションに複数の審査員が同行し、必要に応じて自ら質問するなどして、下記の表彰の基準に従って行った。また、疑問が残る発表、もう少し詳細を聞く必要がある発表については、別の時間に質問するなど、ポスターの掲示時間を最大限に利用して審査を行った。なお、すべての発表を可能な限り同じ条件で審査することに努めたため、審査員の方々には肉体的、精神的にも大きな負担を強いることとなった。
 <表彰の基準>@発表内容:新しい材料および技術としての可能性を見出したあるいは予見させる高分子材料及び関連技術、Aプレゼンテーション:質疑に対する適切な応答、ディスカッション、Bポスターの論理性・ビジュアル性:発表者がその場にいなくとも一見して発表を理解できるような構成、並びに人を引きつける特徴的・魅力的なポスターであるか。
 表彰件数は、各分野のバランスを考慮し、Aセッション2〜3件、Bセッション1〜2件、Cセッション3〜4件、Dセッション1〜2件を目安としたが、各セッションとも優秀な発表が多かったため、Aセッション3件、B及びDセッション各2件、Cセッション4件と例年よりも多い11件をバランスよく選出するに至った。なお、選出されなかった発表にも高い評価が集まったものがあったことを記しておきたい。表彰の対象は、希望により発表者あるいは発表者のグループとしており、今回は、発表者個人受賞10件、グループ受賞1件であった。
発表会場は、常に活気に満ち、多くの参加者が熱心にポスターの前で議論している姿が印象的であった。ポスターは内容的にもビジュアル的にも工夫され、またサンプルを展示するなど、聞く側への配慮がなされた発表が多く見受けられた。発表者の説明も分かりやすいものが多く、よく理解できた方が多かったのではないかと思われる。最後に、受賞者はこれを機会にさらに飛躍していただきたい。また惜しくも選ばれなかった方々には、次回に向けての準備をお願いしたい。11件の受賞者は以下のとおりである。


Aセッション 高分子超薄膜からなる新規創傷被覆材の開発
早大院先進理工藤枝俊宣岡村陽介斎藤晃広武岡真司
防衛医大松谷哲行木下学
サイズの制御されたポリイオンコンプレックス型中空粒子Nano-PICsomeの設計と生体材料への応用
(東大院工)岸村顕広安楽泰孝山崎裕一(東大院医)大庭誠宮田完二郎,
(東大院工・東大ナノバイオ・東大院医・JST-CREST)片岡一則
バニリン由来のポリエステルの開発
帝人平川亮太北薗英一桑原広明
Bセッション ナノ溶融分散紡糸法による炭素超極細繊維の創製
(帝人)小村伸弥,三好孝則,
(東工大イノベ推進体)西澤節,大谷朝男,安田榮一,(東工大応セラ研)赤津隆
ポリベンズイミダゾール・カーボンナノチューブ複合体からなる新規燃料電池触媒の開発
(九大院工)藤ヶ谷剛彦,(JST-CREST)松本和也,
(九大院工・JST-CREST)中嶋直敏
Cセッション 刺激に応答する発光性液晶材料
(東大院工)相良剛光山根祥吾加藤隆史
カプトン型構造を基本骨格とした高溶解性新規非対称付加型イミドオリゴマーの合成と性質
(カネカ)宮内雅彦,(JAXA)石田雄一,小笠原俊夫,横田力男
キラルなポリジアセチレン薄膜の作製とその発光評価
東工大院理工金英輝篠竜徳大嶋優間中孝彰岩本光正
イオンビーム照射によるフッ素系高分子多孔膜の作製−「イオン穿孔」のサイズ・形状制御
(原子力機構)八巻徹也,ヌルヤンティヌヌン,越川博,澤田真一,長谷川伸,
浅野雅春,前川康成,(ドイツ重イオン研)フォスカイ-オベ,
トラウトマンクリスティーナ,ノイマンラインハート
Dセッション ホスゲンの代わりの炭素源としてアセトンを原料とする非ホスゲン法ポリカーボネート製造プロセスの開発−革新的なポリカーボネートの製造プロセス   
(旭硝子)野村順平,岡添隆,岡本秀一,田島宏平,山本今日子
PVAマトリクスを利用した蛍光発色性ナノ複合材料
(豊田中研)石井昌彦,成田猛,舘和幸,(トヨタ自動車)早田裕貴


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第18回ポリマー材料フォーラム