[第19回ポリマー材料フォーラムポスター賞選考報告]

19PMF               
運営委員 佐藤守彦
 今回は、発表件数166件のうち、審査対象件数130件から優秀賞の選考を行い、4つのセッションから各2〜3件の優秀賞の選考を行った。
  発表会場は多くの参加者、発表者の議論で熱気に満ち溢れ、関心のあるポスターの前では、許される時間精一杯にノートしている人も少なくなかった。新しい材料設計を一目で見て分る工夫、系統的な応用例の説明、実際に材料の性能をデモンストレーションしたり、サンプルやカタログ、写真等の展示、聞く側への配慮、関心を惹きつける発表が多く見受けられた。発表者の説明も分り易く、よく理解できた方が多かったのではないかと思われる。
 
優秀発表賞の選考は、まずセッションごとにセッションオーガナイザーが中心になってフェローの方7名を含む10名程度の審査団で審査を行い、表彰対象全発表の中から順位をつけて優秀発表賞候補を複数選定した。次に各セッションから推薦された優秀発表賞候補を選考委員会にて審議し、優秀発表賞を決定した。   プレゼンテーション時間は1件につき10分であり、審査団による審査は、コメンテータの誘導で行われるプレゼンテーションに複数の審査員が同行し、会場からの質問、必要に応じて審査団が多様な角度から質問するなどして、下記の表彰の基準に従って行った。発表数の多いセッションでは時間的に全部の発表を聞く事ができないため、半分に割って審査したが、空いている時間を利用して残り半分のポスター内容を確認したり、もう少し詳細を聞く必要がある発表についても質問するなど、ポスターの掲示時間を最大限に利用して審査を行った。そのため、フェローならびに審査員の方々の肉体的、精神的疲労は大きかったようであった。
 <表彰の基準>@発表内容:新しい材料および技術としての可能性を見いだしたあるいは予見させる高分子材料および関連技術、Aプレゼンテーション:質疑に対する適切な応答、ディスカッション、Bポスターの論理性、ビジュアル性、発表者がその場にいなくとも一見して発表を理解できるような構成、ならびに人を引きつける特徴的・魅力的なポスターであるかといった観点から点数化し、同じ基準での審査となるよう務めた。
 表彰件数は、各分野のバランスを考慮し、Aセッション23件、Bセッション12件、Cセッション23件、Dセッション23件を目安としたが、AおよびDセッション各3件、BおよびCセッション各2件の合計10件と、各セッションとも優秀な発表が多かったため、審査対象件数の割合にしては多い件数であったといえる。尚、選出されなかった発表にも高い評価が集まったものがあったことを記しておきたい。
 最後に、受賞者、ならびに惜しくも選ばれなかった方々とも、今回の会場で得られたことは多いと思われる。さらに飛躍していただくことにより、社会への貢献を果たしていただきたいと願っている。10件の受賞者は以下のとおりである。


Aセッション 溶融成形可能な新規セルロース誘導体の開発
富士フイルム野副寛芳谷俊英澤井大輔塚田芳久
低分子量γ-ポリグルタミン酸の抗老化素材としての可能性

(バイオリーダース)岩本美絵,(ピアス中央研)北村和之情野治良藤原茂久濱田和彦,
(阪大院工)宇山浩
(バイオリーダース・国民大学)成文喜

天然リグニンの逐次機能開発−熱安定性リグノフェノールの誘導
三重大院生物資源青蜿[堀井慎平舩岡正光
Bセッション 層分離反射防止フィルム

(東レ)阿部悠石田康之甲斐倫子高田育

異方性フィラーを用いた導電性コンポジットの作製と導電性能
(信州大院・リンテック)鉄本卓也(信州大繊維)後藤康夫
Cセッション 超高屈折率なハイパーブランチポリマー
(日産化学)西村直也小澤雅昭
高分子電解質ブラシと水によるナノ接着
JST-ERATO)小林元康寺田真佐美高原淳
Dセッション FI触媒を用いた官能基含有ポリオレフィンの合成
(三井化学)岩下暁彦寺尾浩志松木智昭石井聖一
超低収縮アクリレートの設計と硬化メカニズム
(大阪有機化学)吉岡奈穂松岡和義猿渡欣幸
高分子の分解・側鎖反応を利用する易解体性接着材料の設計
(阪市大院)佐藤絵理子乾匡志田村紘松本章一


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第19回ポリマー材料フォーラム