[第21回ポリマー材料フォーラムポスター賞選考報告] |
21PMF 運営委員 川辺正直 |
景気の減速が伝えられるなか、北九州という地方での開催でもあり、本フォーラムを取り巻く情勢には厳しいものがあったが、関係者の心配をよそに、来場者は548 名を数え、会場は若い人たちの熱気に溢れた。今回は、「技術立国 日本を支える高分子科学・技術」というテーマの下、「環境・ライフサイエンス材料」、「電気・光・情報・エネルギー」、「高性能・高機能材料」、「ポリマー材料の設計・合成・加工・解析」のという四つのセッションから優秀賞の選考を行った。今回のポスター賞の選考は、発表件数178 件のうち審査対象151 件という多くの発表を対象にするのであるが、表彰の優劣に差がつかないよう、表彰対象となる全発表を極力同じ条件で審査を行った。審査は、まず、セッションごとに、「21PMF表彰基準・要領」に従って、コメンテーターの誘導で行われるプレゼンテーションに複数の審査員が同行し、必要に応じて自ら質問するなどして、各審査員による採点を行った。このため、審査の先生方には、長時間にわたり、肉体的にも、精神的にも負担をかけることとなった。真摯に最後まで審査を行ってくださった先生方にこの場を借りて、お礼を申し上げたい。 各審査員による採点が終了した後、セッションごとにセッションオーガナイザーが中心になって10 名以上の審査団で審査を行い、表彰対象全発表の中から順位をつけて、まず優秀発表賞候補を複数選定した。選定は、@発表内容:新しい材料および技術としての可能性を見いだしたあるいは予見させる高分子材料および関連技術、Aプレゼンテーション:質疑に対する適切な応答、ディスカッション、Bポスターの論理性・ビジュアル性:発表者がその場にいなくとも一見して発表を理解できるような構成、ならびに人を引きつける特徴的・魅力的なポスター、という条件に適う優秀なものを基準に行われた。 次に各セッションから、選考理由とともに推薦された優秀発表賞候補を、各セッションの審査団長と21PMF の運営委員長ならびに副運営委員長によって構成される優秀発表賞選考委員会にて厳正に審議し、優秀発表賞を決定した。表彰件数は、各セッションの審査対象発表件数のバランスを考慮し、A、C およびDセッション: 3 件、B セッション: 2 件、合計11 件を選出した。表彰はPMFにて優れた研究発表を行った研究者個人を対象に行われるものであるが、表彰楯の受賞者名の記載は、個人名、連名または研究グループ名を希望により選択できるとしており、今回の希望は、発表者個人: 6 件、共同研究者との連名: 5 件であった。 今回、受賞された方々には、心からお祝いを申し上げたい。受賞を今後の成長のバネとして頂きたい。また、惜しくも受賞を逃した発表の中にも優れた発表が多くあったことを付け加えておきたい。優秀発表賞の審査をとおして、発表全体を概観すると、ポスターはビジュアル的によく工夫され、発表者の説明も行き届いたものが多かった反面、ディスカッションでのやり取りの少しの差で受賞を逃すことになったケースが見られたと考える。若い人たちには、今後、研究の場で、互いにディスカッションを重ね、切磋琢磨することで、成長を遂げられることを祈念する。最後に、今回のすべての発表の中から、高分子材料分野における次世代のイノベーションが創出され、全世界でスタンダードとして使用されるものが出てくることを期待したい。11 件の受賞者の方々は下記のとおりである。 |
Aセッション | ・ リン酸化プルランを用いた人工骨材料の開発
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・ 膜による造水安定化技術
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・ 温度応答性を利用したレアメタル回収
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Bセッション | ・ 高反射率と電磁波透過性を有する多様なコーティング材料の開発
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・ Electrocatalyst for Polymer Electrolyte Fuel Cells(PEFCs)Based on Sulfonated Polyimides(SPIs)Carbon Nanotube composites
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Cセッション | ・ 巻取型炭酸ガスレーザー超音速マルチ延伸装置で作製したPET ナノファイバーシートについ て2
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・ 官能基化ポリオレフィンの新展開〜硬化型高耐熱環状オレフィンコポリマーの開発〜
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・ 無機酸化物ナノ構造体の開発と高機能化
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Dセッション | ・ セラミックス/熱可塑性ポリマー複合材料の低フィラー充填での高熱伝導化因子
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・ ナノ構造PMMAキャスト板の開発
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・ 無反射表面構造のナノインプリント材料
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