[第22回ポリマー材料フォーラムポスター賞選考報告]

22PMF               
運営委員 桑原広明
 今回のポスター賞選考では、発表件数143件のうち審査対象112件と例年よりやや少なめではあったが、内容的に粒の揃った候補の中から、四つのセッションより各1〜3件の優秀発表賞の選考を行った。5名の高分子学会フェローにもサポートいただき、セッションごとにオーガナイザーが中心となって8〜10名の審査団員で審査を行い、全表彰対象の順位付けの上で複数の優秀発表賞候補を選定した。その後、各セッションから推薦された候補リストをもとに選考委員会にて審議し、優秀発表賞を決定した。
  ポスター発表はセッションごとに午前、午後に分かれそれぞれ発表時間を定め、コメンテーターの司会、誘導によりポスター1件当たり10分間のプレゼンテーションを行う形で、審査団員を含む参加者からの質疑応答を実施した。審査団員はプレゼンテーション参加時に採点を行うほか、時間的な制約から、場合によってはプレゼンテーション後に改めて詳細内容を確認するなどの工夫により下記の表彰基準に従った公正な審査に努めた。ほぼ半日にわたりすべての表彰対象を同じ条件で厳密に評価、審査するため、肉体的、精神的に多大な負担をおかけした審査員の方々にこの場を借りて厚く御礼を申し上げたい。
 
<表彰の基準>@発表内容:新しい材料および技術としての可能性を見いだしたあるいは予見させる高分子材料および関連技術であるか。Aプレゼンテーション:質疑に対する適切な応答、ディスカッションがなされたか。Bポスターの論理性・ビジュアル性:発表者がその場にいなくとも一見して発表を理解できるような構成、ならびに人を引きつける特徴的・魅力的なポスターであるか。
 表彰の対象は、昨年より発表者個人に限定されることとなっており、その件数については、各セッションの対象となる発表件数に応じてバランスを考慮し、Cセッション3件、BおよびDセッション2件、Aセッション1件と、合計8件が選出された。また、今回の発表はいずれのセッションも甲乙付け難いレベルの対象候補が多く見られ、惜しくも選出されなかった発表にも高い評価が集まったものが多くあったことを付け加えておきたい。  期間中、発表会場では昨年を上回る658名の参加者でにぎわい、各企業ブースでの製品紹介と相まってポスター発表者との活気ある議論が交わされた。ポスター発表の内容はもちろんであるが、タイトルやデータの配置といった、発表者がアピールしたい技術、製品の中身が一目でクリアに理解できるビジュアル的な工夫、サンプル展示の配慮等がほかの学術フォーラムとはひとあじ異なり、印象的であった。
 最後に、受賞者、ならびに惜しくも受賞されなかった方々とも、フォーラムで得られた知見、情報を糧にますますの研鑽をつまれ、さらに大きく飛躍していただきたい。正に、今回のフォーラムの主題である、「驚き!新鮮!感動価値」をもって、未来の高分子科学と産業の発展に貢献する多くの魅力的な新技術、新製品が生まれてくることを心より期待する。8件の受賞者は以下のとおりである。



Aセッション メラミン誘導体を用いたポリ乳酸の透明結晶化
(日産化学)長濱宅磨
Bセッション Eテキスタイルへの適用を目的とした伸縮性印刷配線の機械的疲労挙動の解析
(群馬大ASRLDユニット)井上雅博
芳香族複素環を有する置換安息香酸エステルのPMMAフィルム中での熱転位と屈折
  率変化
(神奈川大工)安田明日美
Cセッション [c2]ロタキサンダイマーによる超分子ヒドロゲルの作製
(阪大院理)岩曽一恭
植物由来軟質ポリフタルアミド リルサンHT
(アルケマ)勝野 能
レーザー延伸を用いて直径を精密に制御した繊維
(信大院理工)的場兵和
Dセッション ・ 界面における鈴木-宮浦クロスカップリング反応によるゲルの接着
(阪大院理)関根智子
相構造を制御したバイオ樹脂(PP/PA11)アロイ
(豊田中研)河田順平
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第22回ポリマー材料フォーラム