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第58回高分子夏季大学プログラム

分科会講演 全34講演
18日(19講演) 9:00-12:20、13:30-16:50

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会場 A会場 B会場 C会場
分科会 基礎・入門「合成」−合成が拓く未来高分子− ハイブリッド高分子材料 エネルギー(太陽電池)
9:00-10:00 A-1) 精密高分子合成とラジカル重合(京大院工)澤本 光男
連鎖生長重合(付加重合)の最近の動向を重合の精密制御に焦点を当てて概観し、とくに精密ラジカル重合の進展を述べる。また、ラジカル重合やイオン重合における精密重合の応用展開にも触れ、この分野の将来を展望する。
B-1)元素ブロック高分子材料の創出(京大院工)中條 善樹
様々な元素群からなる構造単位を「元素ブロック」と呼ぶ。これを高分子化させることにより、これまでにないハイブリッド型高分子材料が期待できる。このような新しい概念の「元素ブロック高分子材料」について概説する。
C-1)高分子系有機薄膜太陽電池の研究開発(理研)但馬 敬介
高分子系有機薄膜太陽電池の基礎的な動作原理と評価方法、現在の材料設計の指針などについて解説するとともに、より優れた特性を持つ半導体有機材料を開発する観点から、最近の学術的な研究例について紹介する。
10:10-11:10 A-2) 縮合重合の基礎と新潮流  (岡山大院環境)木村 邦生
縮合重合は,利用できるモノマー構造や反応種の多様性から,高性能材料に留まらず高機能性材料を創り出すための重要な技術である。最近になって,新しい概念に基づいたこれまでにない縮合重合法が開発されている。本講演では、縮合重合の基礎から最近のトピックスまでを紹介したい。
B-2)相互作用バランス制御から生まれる高分子の階層的構造制御(熊本大院自然)國武 雅司
相反する相互作用のバランスを精密に制御することで、自己組織的に生み出される階層的高分子構造やトレイドオフを克服する構造特異点といったトピックをソフトマテリアルの観点から紹介する。
C-2)色素増感型とハイブリッド型有機太陽電池の開発(桐蔭横浜大院工)宮坂 力
変換効率13%に届く色素増感太陽電池(DSSC)の開発動向を紹介し、効率向上の要素技術を解説する。また、産業出口の 主流となりつつある軽量フレキシブル化に向けたDSSCの製作の技術、そして、DSSCの原理をもとに新たな有機系太陽電池として研究活 発化する有機無機ハイブリッド太陽電池の製作方法を紹介する。
11:20-12:20 A-3) 後周期遷移金属と配位重合(東大院工)野崎 京子
前周期遷移金属と比較した場合の後周期遷移金属の特徴について解説し、その配位重合触媒としての魅力について紹介する。
B-3)相分離構造制御による有機無機複合材料の機能化 (三井化学)高木 斗志彦
機能化を目的に、有機と無機を数十ナノメートルからマイクロメートルのオーダーで制御された相分離構造を形成する手法、及びこのコンセプトに基づいて開発された有機無機複合材料とその応用例を紹介する。
C-3)フィルム基板太陽電池について(三菱化学)星島 時太郎
三菱化学が実用化を進めているフィルム基板太陽電池(有機、アモルファスシリコン)について、その製法・特徴とプラスチックと複合化したモジュールのスマートビル・ハウスおよび自動車への用途事例をお話しする。
B-4)りん光発光性ハイブリッド薄膜の作製 (阪市工研)渡瀬 星児
高分子材料に、機能中心としてのりん光発光性の化合物をハイブリッド化することにより、双方の特徴を併せ持つ発光材料の創出が期待できる。重金属元素の導入により発光特性を付与した、ハイブリッド型りん光材料について紹介する。
分科会 基礎・入門「物性」−物性制御による高分子材料の新展開− エレクトロニクス・透明材料 エネルギー(電池技術)
13:30-14:30 A-4) 高分子の結晶化メカニズムと高性能・高機能化(広島大院総合)彦坂 正道・岡田 聖香
高分子の融液を伸長すると、結晶化メカニズムと構造・物性が(静置場に比べて)一変することがわかった。長いひも状分子である高分子に特有な結晶化メカニズムの解明と高性能・高機能化への挑戦についてお話しする。
B-5)未来を担う高性能透明ポリマー材料 (千歳科技大光科学)谷尾 宣久
透明ポリマー材料が、ディスプレイ用光学フィルム、光ディスク、光学レンズ、光ファイバー、さらにはタッチパネル、次世代照明などに用いられ、高屈折率化、高透明化など光学特性の高性能化が求められている。ここでは、高性能化を達成するための構造制御法について述べる。また、次世代革新技術を担う材料として透明ポリマーを成長させるための課題について展望する。
C-4)高性能電池を実現する高分子材料(山梨大クリーンエネ研)宮武 健治
電気自動車や様々な携帯機器の実用化と普及に向けて小型軽量で大容量な電池の開発が必須であり、我が国のエネルギー産業の基幹分野として位置付けられている。高性能な電池を実現する高分子材料の役割と将来展望について述べる。
14:40-15:40 A-5) エラストマー材料の力学物性の制御と解析 (京工繊大院工芸)浦山 健治
エラストマー材料の破壊伸び,制振性,大変形特性などの力学物性と網目構造の相関について解説する。網目鎖長,絡み合い,ダングリング鎖など高分子網目の構造因子を制御したモデルエラストマーの研究結果を紹介する。また,エラストマー材料の大変形特性の解析における二軸伸長測定の意義と手法について述べる。
B-6)フォトニクスポリマーがもたらす液晶ディスプレイの革新(慶應大院理工)多加谷 明広
ポリマーの複屈折、光散乱などは広く知られている現象であるが、ポリマーの設計によりこれらの現象を制御するという試みから、ゼロ・ゼロ複屈折ポリマーなどのいくつかの新しいフォトニクスポリマーが誕生した。新しい材料は、デバイス化まで視野に入れた時、システムの革新に至る可能性がある。これらの取り組みについて紹介する。
C-5)二次電池の最前線と高分子材料技術(日産自動車)秦野 正治
二次電池市場は、電動車両用や系統電源安定用の需要が急激に伸びると予測されている。各用途に応じて構成材料への様々な要求がある。本講演では二次電池の最新技術動向を、そこに貢献する材料技術とともに紹介したい。
15:50-16:50 A-6) 高分子固体の緩和現象に及ぼす界面の効果 (九大院工)田中 敬二
高分子の「固体」はレオロジー的に定義された物質であり、観測時間が緩和時間よりも十分に長ければ流動し、「液体」として振舞う。動的力学緩和測定で得られる粘弾性関数とその温度および時間の効果について考えた後、さまざまな界面における高分子の緩和現象について議論する。界面における高分子物性は3次元バルク試料で蓄積されてきた知見に基づき理解することは困難な場合が多い。界面制御に基づく高分子材料の展望についても述べる。
B-7)IT・エネルギー・環境とプリンテッドエレクトロニクス・フレキシブルデバイス -印刷で作製する柔らかい熱電変換素子技術開発と将来展望- (産総研)星野 聰
熱・振動・電磁波などの形で環境中に存在するエネルギーを電力に変換して活用するエネルギーハーベスティング(環境発電)技術が注目されている。製造に印刷技術が適用可能で低コスト生産・大面積化に有利、レアアースを使用しない、柔軟性が付与され適応範囲が広いなど、従来型にはないユーザビリティに優れる熱電変換素子技術開発をはじめとし、プリンテッドエレクトロニクス、フレキシブルデバイスをIT、エネルギー、環境の視点からそのに関してその開発の意義に関して考察する。
C-6)創電・エネルギー貯蔵分野における高分子未来材料(早大理工)小柳津 研一
有機系太陽電池や二次電池を構成する高分子材料を例に、電荷の分離、輸送、高密度蓄積を可能とする分子設計とその実例について述べる。また、光空気二次電池などこれまでにないデバイスへの展開を紹介し、蓄・創電に関わる高分子材料の未来像を議論する。

19日(15講演)9:00-12:20

          
会場 A会場 B会場 C会場
分科会 バイオミメティクス 中国四国支部セッション−企業における研究開発最前線− 自動車の未来
9:00-10:00 A-7) 問題提起:今、何故、生物模倣(バイオミメティクス)なのか?(東北大WPI-AIMR)下村 政嗣
ナイロンの発明以来「生物に学ぶ」ことは半ば常識であり、BiomimetiC Chemistryから分子ナノテクノロジーにいたる潮流となった。今世紀に欧米を中心に台頭したバイオミメティクス新潮流の現代的意義と課題を提起する。
B-8)アクリロニトリルとジエンのリビングラジカル共重合(日本ゼオン)奥野晋吾
遷移金属によるリビングラジカル重合は、ラジカル重合の高汎用性と、リビング重合の高制御性の2つの特長を併せ持つ、魅力的な重合方法である。今回は、アクリロニトリルとジエンの共重合への応用について紹介する。
C-7)次世代自動車(HEV,PHEV,EV)に対して期待される高性能・高機能高分子材料の特性(ポリマー技術・ビジネス開発研究所)岩野 昌夫
環境問題と資源問題の観点から、近年販売台数が急増大しつつある次世代自動車(HEV,PHEV,EV)には、より一層の軽量化が必要であるとともに、新たに必要となる部品・システムがある。そこで、こうした目的のために期待される高性能・高機能高分子材料に対する必要特性について考察する。
A-8) 生物に学ぶ構造色デバイス (北大電子研)居城 邦治
しばしば良くない意味で使われる「玉虫色」とは、タマムシの翅の微細構造による発色現象=構造色の一種である。森の中だけでなく身の回りにもある構造色の原理からナノテクを駆使した構造色デバイスまでを解説する。
B-9)アクリル系ポリマーの分子設計とその応用(三菱レイヨン)槇野 隆之
アクリル系ポリマーは、その優れた透明性、耐候性、表面光沢などの特性により、車両、光学部材、建材、水槽、塗料、雑貨など幅広く使用されている。このアクリル系ポリマーの重合の特徴、新しい共重合体、構造制御の可能性などについて概説する。
10:10-11:10 A-9) 有機フッ素化合物に依存しない低環境負荷型表面処理 (産総研)穂積 篤
生物は汎用元素を用い、その表面構造を最適化することで優れたはっ水性、防汚性を発現している。 最近、低環境負荷の観点から、有機フッ素化合物に依存しない新規な表面処理技術の開発が望まれている。ここでは、これまでにない優れた滑液性を実現する動的濡れ性制御に基づいた表面処理技術についてそのコンセプトと実例を紹介する。
B-10)機能性アクリレート系繊維 (日本エクスラン工業)小見山 拓三
アクリル繊維のシアノ基は化学修飾が容易であり、それを利用して吸湿性、吸水性、消臭性、抗菌性等の様々な機能性を付与することができる。アクリル繊維を化学修飾して得られる、これら機能性アクリレート系繊維について解説する。
C-8)材料科学を基盤にした自動車産業関連ソリューションの紹介(デュポン)石岡 治道
環境、安全、快適性を配慮した開発に取り組む自動車産業において、関連企業様と共に持続可能な共存共栄を目指すデュポンの成長戦略と重点システムセグメントに関して 、材料科学を基盤にした取り組みの概要と開発事例を紹介する。
A-10) バイオミメティクス研究開発の国際動向  (産総研)関谷 瑞木
バイオミメティクスの国際標準化が本格的に動き出した。国際標準化の背景や2012年10月に開催された第一回会合について報告するとともに、各国の研究開発の動向を紹介する。
B-11)アクリル系熱可塑性エラストマー「クラリティ」 (クラレ)森下 義弘
<クラリティ>はリビングアニオン重合法により工業化されたアクリル系ブロック共重合体である。「透明性」「耐候性」「接着性」の特長をもつ熱可塑性エラストマーであり、粘着剤や成形材料用途への応用を紹介する。
11:20-12:20 A-11) 不思議な蝶の翅をまねた物づくり(帝人)広瀬 治子
バイオミメティック材料技術のひとつとして、我々は青く輝くモルフォ蝶の翅の色について学び、それを模倣して物作りを行っている。色とはなにか、モルフォ蝶の構造と発色原理、薄膜干渉発色を利用して開発した光学干渉繊維と超多層フィルムについて紹介する。
B-12)ポリアミド系熱可塑性エラストマー「UBESTA XPA」(宇部興産)前田 修一
機能化を目的に、有機と無機を数十ナノメートルからマイクロメートルのオーダーで制御された相分離構造を形成する手法、及びこのコンセプトに基づいて開発された有機無機複合材料とその応用例を紹介する。
C-9)サステイナブルモビリティー社会実現に向けたトヨタの取り組み(トヨタ自動車)江崎 研司
持続可能な社会の発展とクルマ本来の楽しさや利便性を追求した次世代モビリティの実現に向けて、環境技術や安全技術等へのトヨタの取組みを紹介するとともに、これらを支える材料技術への期待について、高分子材料を中心に述べる。
A-12) 工学的気づきを生み出すバイオミメティクスデータ検索基盤(北大院情報)長谷山 美紀
バイオミメティクスデータ検索基盤は、生物学と工学に個別に蓄積されたデータを有機的に連携することで、検索者に気づきを与え新たな材料開発の発想を支援する。試作システムを通して、生み出される「気づき」について議論する。
B-13)炭素繊維複合材料について(東レ)土谷 敦岐
軽くて強い新材料として注目されている炭素繊維複合材料(CFRP)について、炭素繊維の基本的な特徴と、航空機や自動車、スポーツ用途などでの実用化の事例とを交えながら近年の開発動向について解説する。

総合講演(17日)

14:00-15:00
橋本和仁(東大院工)
「エネルギー課題に対する基礎科学分野研究者の使命」
社会的課題解決に向け、研究者に対する社会からの期待は極めて大きい。特にエネルギーにかかわる問題は我が国のみならず世界が直面している課題であり、エネルギー獲得と高効率エネルギー利用という需給の両面において革新的な進歩が望まれている。本講演では基礎研科学分野の研究者が為すべき使命について考えてみたい。
15:10-16:10
松下裕秀(名大院工)
「セレンディピティと偶然の間にあるもの」
私の専門は、複合高分子の構造と物性である。例えばブロック共重合体では、構成高分子成分の組み合わせが研究成果を左右する。若い頃、苦しみながら選んだ高分子種が今の研究を支えている。その選択は偶然だったのか。自分史を振り返りながら考えてみたい。
16:20-17:20
栃岡孝宏(マツダ)
「自動車用プラスチック材料/加工法の現状と将来への期待」
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