| S17.フッ素系高分子材料のこれからの展開 |
| (弘前大学大学院理工学研究科)沢田 英夫 |
| <趣旨> 1938年に米国デュポン社のPlunkettにより開発されたポリテトラフルオロエチレンをはじめとした数多くのフッ素系高分子材料は、現在の化学産業の発展に大いに貢献し、我々の生活の利便性を向上させている。しかしながら、1974年にRowlandらにより冷媒として使用されているフッ素化合物(フロン類)のオゾン層破壊の可能性が指摘されて以来、フッ素化合物と環境との関係が常に議論されてきた。ポリテトラフルオロエチレン製造時に使用されているペルフルオロオクタン酸 (PFOA)さらにはペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)において、米国3M社は自社の工場労働者の血清中にPFOSが高濃度に含まれていることを1999年に公表し、2000年に、PFOS製造を2002年製造中止することを決定した。PFOA, PFOSは難分解性で、残留性や生物蓄積性が指摘されている。 一方、フッ素樹脂は炭化水素系樹脂と異なり、耐熱性、耐薬品性等に優れているため、リサイクル技術の開発が困難とされている。しかしながら、不用となったフッ素樹脂は年々増加しており、2003年には年間約1200トンあまりに達している。従って、フッ素樹脂の有効なリサイクル技術の開発も急務といえる。 このように、我々の生活に密着した材料であるフッ素系高分子化合物は、今後、安全性、さらには環境に配慮した材料設計が必要であり、これら材料設計に基づいて開発された材料の新たなる機能創成も必要となる。そこで、本特定テーマでは「フッ素系高分子材料のこれからの展開」に関して、"フッ素化合物と環境"、"フッ素系高分子化合物の新規合成法の開発"および"フッ素による新たな機能創出"に関する研究分野に興味を持つ産・官・学の研究者が会して、これらテーマに基づいた積極的な討論を行いたいと考えております。是非、この分野で活発な研究を展開されている貴方に、次のような特定テーマ分野で研究成果を発表し、討論に参加していただきますようお願いし申し上げます。 |
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