| S1.ナノ空間・界面を基盤とした高分子化学 |
| (京都大学工学研究科)植村 卓史 (物質・材料研究機構) 竹内 正之 |
| <趣旨> ナノレベルで規制された世界では、空間や界面が分子の状態に大きな影響を与える。つまり、空間や界面の設計次第で、そこに存在する分子の配向や集合構造を自在に制御でき、特異な分子吸着や選択的認識も可能になる。また、バルク状態とは異なる特殊な環境下に置かれることで、分子はひずみを受け、平衡構造や基底状態からずれるストレス現象を示す。強い拘束を受けることで、エネルギー移動や反応の活性化までも引き起こすことがある。本特定テーマでは、このような魅力あるナノ空間・界面を形成する物質群の構築、および、このような場を利用することで可能になる分子の特異物性の発現、認識、集積、反応等の制御について、高分子化学の観点から横断的に議論したい。 例えば、均一なナノ空間を有する物質群としてゼオライトや活性炭などが挙げられる。近年ではその空間機能を凌駕するような材料として、メソポーラスシリカ、多孔性金属錯体(MOFもしくはPCP)、多孔性有機骨格 (COF)や有機ホスト材料の研究が活発に展開されている。また、生体分子が有するナノ空間・界面により、高度に規制された酵素反応やバイオミネラリゼーションが起こることはよく知られている。タンパクやペプチドはもちろん、デンドリマー、高分子ゲル、インプリント高分子、ブロック共重合体などの人工高分子が形成する場を利用することで、分子配列、認識、触媒等の機能が達成されるようになっている。さらには新たな機能性材料を創製するという観点から、微粒子表面や基盤表面、有機−無機ハイブリッド材料中での相互作用界面の利用と理解に関する重要性は益々高まってきている。 以上のように、本特定テーマでは、「ナノ空間・界面」をキーワードとして、ナノ組織体の構造構築、分子配向・集積による機能評価、特異的反応場の設計に興味をもつ研究者が会することで、「場」と高分子を意識した観点から、新規材料の創製につながる討論を行いたい。 是非、この分野で活発な研究を展開されている貴方に、次のような特定テーマ分野で研究成果を発表し、討論に参加していただきますようお願いし申し上げます。 |
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