| S5.ソフトマテリアルサイエンスにおける 産学連携研究と基礎研究のインタープレイ |
| (京都大学化学研究所)竹中 幹人 |
| <趣旨> ソフトマテリアルサイエンスの分野においては、産学連携によって、多くの実用化につながる成果が産み出されて来た。これらの多くは、長年の基礎研究の成果から産学連携研究へと発展し、実用化に繋がっていくという道筋をたどっている。それに対して、実際の生産現場での「経験則」から、次の新しい分野を創成する基礎研究のテーマが出るという逆の流れにも新しいサイエンスの創出の可能性がある。よって、今までの優れた基礎研究から産学連携研究•実用化へという「一方通行」の流れだけではなく、産学連携研究からの基礎研究の創出も含めた基礎研究と産学連携研究の協奏(インタープレイ)、すなわち、ソフトマテリアルへの理論的アプローチをしている研究者、ソフトマテリアルの合成•物性の研究者、そして産業界の研究者とのお互いの緊密な交流を図ることが今後のソフトマターサイエンスの分野の発展にとって必要である。 このインタープレイを促進するために重要な技術は、散乱法により観測される逆空間、顕微鏡法により観測される実空間に加えて、計算科学により創成される仮想空間の3つの空間の観察技術である。高分子、液晶、膜、コロイドなどソフトマテリアルでは、1nmから100ミクロンにおよぶ空間的階層構造と、それらの構造に対応した1ピコ秒から10秒の10桁以上におよぶ時間スケールでの運動モードの時間的階層構造を有しており、3つの空間の観察技術の発展が、今まで困難であった多成分系などの複雑なソフトマテリアルの様々な現象の解明の進展をもたらし、「経験則」からの基礎研究を創出できると考えられる。 そこで、本特定テーマでは、基礎研究から産学連携研究への流れだけではなく、産学連携研究から新しい学問分野の創出につながる基礎研究への流れを拓き、基礎研究と産学連携研究のインタープレイを促進するために、散乱法•顕微鏡法•計算科学によるソフトマテリアルの構造物性の研究者、ソフトマテリアルサイエンスの基礎研究•応用研究に携わる理論•合成•物性研究者、産業界の研究者が会し、新しいソフトマテリアルサイエンスの研究分野の創出をめざして討論をしたいと考えています。ソフトマテリアルに関わる各界の研究者の積極的な研究発表の申し込みをよろしくお願い申し上げます。 |
| 閉じる |