高分子 Vol.60 No.1 |
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特集 研究の転機 〜人・論文・発見との出会い〜
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展望 COVER STORY: Highlight Reviews |
生物物理化学 Biophysical Chemistry |
井上 祥平 Shohei INOUE |
<要旨>これは今堀和友著の「旋光性」と題する本の巻末に書かれた著者の専門分野である。文字どおりだと,化学の中の物理化学の,その中でも生物を対象とする分野を示している。しかし別の見方では,これは狭い専門に捉われず,その研究が自然科学全体に意味をもつべきであるという著者の意思表明とも取れる。本稿の筆者はこれに強い感銘を受けた。 Keywords: Physical Chemistry / Biology / Natural Science |
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研究事始め Foundations of a Research Life |
梶山 千里 Tisato KAJIYAMA |
<要旨>研究を遂行するうえで重要な三能力,「観察力」「洞察力」「展開力」は,研究で出会う科学的経験により育まれる。それゆえ,これらの三つの能力を育てるためには,研究者は,「研究の事始め」で人生を決めるような感動的な経験との出会いを見過ごさないようすべきである。 |
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アフィニティラテックスに到る道のり Approach to Affinity Latex |
川口 春馬 Haruma KAWAGUCHI |
<要旨>高分子微粒子の研究が,その生成機構や反応論を中心としたものから機能の活用に注目したものにシフトする兆しを見せたのは1970年代からである。乳化重合の研究を端緒としてこの分野に足を踏み入れた筆者は絶妙なタイミングで機能性高分子微粒子の成長期を生きたことになる。その過程で出会った人々を思い起こしながらアフィニティラテックス研究の道を振り返る。 Keywords: Emulsion Polymerization / Polymer Particle / Functional Microsphere / Affinity Latex |
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エドワーズ先生との出会い When I First Met Sir Sam |
土井 正男 Masao DOI |
<要旨>エドワーズ先生と初めて会ったのは,ロンドンの政府機関の中のオフィスであった。科学行政に深くかかわっていた人物が,英語のうまく喋れない日本人にどのように接し,何を語ってくれたか。それが,私のその後の研究にどのような影響を与えてくれたのかを振り返る。 Keywords: S. F. Edwards / Entanglement / Doi-Edwards Theory |
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高分子認識:マクロモレキュラーレコグニション Macromolecular Recognition |
原田 明 Akira HARADA |
<要旨> 高分子認識(macromolecular
recognition)をテーマにシクロデキストリン(CD)による高分子の認識について検討中,CDが種々の高分子を取り込み,包接化合物を形成することを見いだした。この発見からポリロタキサン,分子チューブの合成,超分子ポリマーや超分子ゲルの構築,分子マシン,人工重合酵素,人工筋肉の開発に発展した。 Keywords: Macromolecular Recognition / Cyclodextrin / Polyrotaxane / Molecular Tube / Molecular Machine / Artificial Polymerase / Artificial Muscle |
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出会いに始まる表面力測定 Some Encounters and Surface Forces Measurement |
栗原 和枝 Kazue KURIHARA |
<要旨> 20年ほど前,バイオミメティックな機能系設計の研究から,表面力測定にテーマを大きくシフトさせた。この転機における出会いをまとめた。研究の展開・流れ,先輩や研究仲間の励まし,そして物理領域の研究環境にいたことなどである。 Keywords: Surface Forces Measurement / Molecular Assemblies / Nano-Technology / Precision Technology |
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お前が会社で勤まるはずがない You Never Can Serve Companies |
松下 裕秀 Yushu MATSUSHITA |
<要旨> 私は,たまたま就職難のために大学院進学した研究室で,人生を決定づける一人の人物に出会った。これまで35年も同じ分野で仕事を続けてこられたのは,この人のハラスメント紛いの教育的進路指導があったからである。一角の人物との出会いの大切さ,魅力ある存在。自分の研究ルーツを訪ね,自らがDNAを継承していくことができるのか,自問自答しながらの半生記である。 Keywords: Lifetime Hero / Attractive Character / Anionic Polymerization / ABC Triblock Copolymer |
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ささやかな冒険心で機会を活かそう Think of Opportunity Instead of Security |
前田 瑞夫 Mizuo MAEDA |
<要旨> 1本鎖DNAを表面にもつ高分子ナノ粒子は水中で安定に分散するのに対し,完全相補のDNAを加え二重鎖を形成させると0.4
MNaCl以上で粒子は自発的に凝集することを発見した。同様の現象は金コロイドでも確かめられた。しかし末端にミスマッチがある場合は安定分散することが見いだされた。これらは転機のたびに出会った新たな同僚による偶然の発見である。ささやかな冒険心で人との出会いや発見の機会をつかもう。 Keywords: DNA / Double Strand / Single-Base Mismatch / Graft Copolymer / Polymer Colloid / Gold Nanoparticle / Genotyping |
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研究生活を振り返って… Looking Back on My Research Life … |
渡辺 宏 Hiroshi WATANABE |
<要旨> 筆者にとって,大学院博士課程を中退しての大阪大学への就職,米国留学,そして京都大学への異動が大きな転機であった。それぞれの転機で研究の視点を深めることができたが,これらの転機は多くの先生,友人の御厚意の賜物であり,深く感謝している。 Keywords: Research / Turning Point / παντα ρει / Support & Kindness |
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高分子研究とセレンディピティの経験 Experience of Serendipity in Polymer Research |
府川 伊三郎 Isaburo FUKAWA |
<要旨> 会社での高分子研究(合成ゴム,ポリエーテルケトン,非ホスゲン法ポリカーボネート)をふりかえり,セレンディピティ(予期せぬ発見/幸運の女神)との遭遇をいくつか紹介する。 Keywords: Polyetherketone / Polycarbonate / Non-Phosgene / Serendipity |
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マラリア防除と夕日 Malaria Control and a Sunset |
伊藤 高明 Takaaki ITOH |
<要旨> 私は20年以上マラリア防除研究に携り,マラリア対策用オリセットネットの開発に貢献することができた。小さい頃の夢は船長となりインド洋の夕日を見ることであった。研究開始当初,サウジアラビアにもマラリア問題があることを知った。一瞬,砂漠の夕日とインド洋の夕日が重なった。そして,マラリア防除を生涯の仕事にすることを決めた。 Keywords: Malaria / Olyset / Mosquito / Net |
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フルオレン材料にかける思い My Passion for the Fluorene |
山田 光昭 Mitsuaki YAMADA |
<要旨> 会社に入って20年以上たちますが,フルオレン一筋でやってきました。たくさんの人の縁に支えられてここまで来ましたが,私の経験が少しでもみなさんのお役に立てればと思います。 Keywords: Fluorene / BPEF |
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グローイングポリマー Growing Polymers: A Personal Account |
リビングポリマーのように Like a Living Polymer |
蔡 正国 Zhengguo CAI |
<要旨> This personal account reviews my research experiences with development and application of stereospecific living polymerization of hydrocarbon monomers. |
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私の研究理念は“Simple is Best” Towards a Facile Approach “Simple is Best” |
杉原 伸治 Shinji SUGIHARA |
<要旨> I have prepared various self-associations using precision polymerization such as living cationic polymerization, ATRP, and RAFT dispersion polymerization. Along the way, I have been pursuing “simple and facile” polymerizations and the resulting associations. This personal account, Growing Polymers, reviews such my research experiences. |
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高分子科学最近の進歩 Front-Line Polymer Science |
棒状高分子のスメクチック液晶−高分子末端の位置制御− Smectic Liquid Crystal Formed from Hard-Rod Polymers |
大越 研人・渡辺 順次 Kento OKOSHI and Junji WATANABE |
<要旨> Liquid crystal
phases formed by hard-rod polymers have been studied extensively in both
theoretical and experimental ways. In the initial stage of studies, it
has been shown that a system of long hard molecules can exhibit an orientational
ordered nematic phase if the density is efficiently high. Recently, computer
simulation has played an important role in understanding the liquid crystalline
behavior of systems composed of hard-rod molecules, and given the first
indication that the smectic and columnar phases can also be formed by
systems of molecules which interact through excluded volume interaction
alone. In fact, the experimental studies carefully done for hard-rod
polysilane in a thermotropic system have clarified the well-defined phase
sequence including nematic and smectic phases. These will be reviewed
in this article. Keywords: Hard-Rod Polymer / Excluded Volume Effect / Polysilane / Nematic Liquid Crystal / Smectic Liquid Crystal |
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