ポリワーズ は行 

ポリワーズ

〔は行〕


プロトンスポンジ効果<p133>
プロトンスポンジ効果とは,pHの低下に合わせて大量のプロトンを吸収する効果のことであり,大量のアミノ基を有するカチオン性高分子がこの効果を示す。特に核酸医薬のデリバリーにおいてエンドソーム脱出を助ける手法としてこの仮説がBehrらにより提唱された。エンドソーム膜には,V-ATPaseと呼ばれるプロトンポンプが存在しており,エンドソーム内pHが5~6程度になるまでプロトンをエンドソーム内に輸送する。このプロトンスポンジ効果を有したカチオン性高分子は,pH5~7に緩衝域があり,エンドソーム内pHの低下に合わせてプロトンを大量に吸収する。これにより,エンドソーム内pHの低下は抑制され,pH低下のためにはより多くのプロトンの流入が必要となる。また,エンドソーム内外の電荷的平衡を保つためにアニオンも流入し,塩濃度・浸透圧が上昇する。この高い浸透圧を解消するため,さらに大量の水がエンドソーム内に流入し,その容量に耐えきれなくなり膜が崩壊することで,エンドソーム脱出が促進されると提唱された。
kobunshi, Vol. 58, P.137 (2009)

ファージディスプレイ<p678>
ファージは,大腸菌などのバクテリアに感染し,宿主の力を借りて自らのクローンを増やすウイルスである。ファージの遺伝子に人為的に外来遺伝子を組み込むと,ファージを構成するタンパク質を改変することができる。このような遺伝子工学を応用すると,ファージの外殻(キャプシド)タンパク質の一部に融合したかたちで,任意のペプチド鎖を提示(ディスプレイ)することができる。組み込む外来遺伝子の塩基配列をランダムにすれば,それぞれのファージごとにアミノ酸配列の異なるペプチドを提示させたランダムペプチドライブラリーが調製できる。このライブラリーから,ターゲット分子に対する親和性の違いをもとに特定のファージを選択した後,ファージの遺伝子を読み解くと,ファージに提示されているペプチドのアミノ酸配列,つまりターゲット分子に親和性を示すペプチドが同定できる。このように,ファージ上に提示されたペプチド・ライブラリーから,設定したターゲットに特異的に結合するペプチドを得る手法をファージディスプレイ法と呼ぶ。 Kobunshi, Vol. 58, P.682(2009)

ポリロタキサン<p678>
環状分子の空洞部を貫通した線状分子の両末端をキャップして環状分子が脱落しないようにした骨格構造を有する超分子を,ロタキサン(rotaxanes)という。これは,車輪と車軸を意味するラテン語から命名された経緯がある。これをもとにして,環状分子が多数の場合を総称してポリロタキサン(polyrotaxane)と呼ぶが,線状分子が主鎖型のものや側鎖型のものなど構造は多種多様である。なお,ロタキサンにおいて線状分子も環化している場合がカテナンである。ポリロタキサンをもとにして合成された分子チューブは,新たな分子認識ホストとして期待されている。さらに近年では,ポリロタキサン中の環状分子を連結したトポロジカル・ゲルが精力的に研究されており,その優れた力学特性が注目されている。このように今日では,ポリロタキサンに特徴的な骨格構造を活かした機能設計に関する研究や産業界での商品開発も加速してきており,高分子科学分野での新たな機能材料として期待されている。Kobunshi, Vol. 58, P.682(2009)

ハイソリッド塗料<p387>
溶剤型塗料において,塗料の不揮発分を多くしたものであり塗膜形成時に環境へ排出される有機溶剤を少なくし省資源,低公害のニーズに対応した塗料である。日本では塗装時の不揮発分(APS)が65%以上をハイソリッド塗料という一般的概念はあるが,慣用的には現行の溶剤型塗料に比ベAPSが高いものを指す.ハイソリッド化の手法は主として次の3つがとられている。 ①樹脂の低粘度化  樹脂の分子量を下げる.樹脂組成面からガラス転移点(Tg)を下げる,あるいは溶剤に対する溶解性を良くする,非水ディスパ-ジョン樹脂を使用する,などの方法がある。 ②塗料化における手法  顔料分散時に適切な分散剤を使用することによって分散時の粘度上昇を抑える.また溶剤の選択において,一般には樹脂の良溶媒であり,それ自体は低粘度の溶剤ほどAPSは高くなる。 ③塗装上の手法  塗料粘度の温度依存性を大きくしておき,加温塗装することによってAPSを高くする.また塗装機器を改良し,塗料のAPSを高める工夫がなされている。
Kobunshi, Vol.40 , p.391 (1991)

ヒドロゲル<p240>
水膨潤性の親水性素材として(ここでは)特に親水性ポリマーに網目構造を導入し,水中で膨潤するが水不溶性であるものをいう。水溶性ポリマーを部分架橋することで吸水性とともに吸収した水を保持するという特微が発揮される。吸水性の要因としてポリマー内部に発生する浸透圧およびポリマーの水に対する親和性があり,これらが吸水を抑制する網目構造に基づくエントロピー弾性とバランスすることで平衡吸水率が決定される。ポリマー骨格と架橋点の調節により吸水率が制御され,ポリアクリル酸系,デンプングフト系,セルロース誘導体などの例では自重の千倍もの吸水率を示すものがあり,高吸水性樹脂として生理用品,紙おむつなどに利用されている。あるいは,ヒドロゲルにおいてゲル体積が溶組成,温度変化などにより不連続的に収縮(相転移)することが見いだされ,可逆的体積収縮を利用したメカノケミカル素材などの開発が検討されている。ヒドロゲルの生体適合性に着目したコンタクトレンズをはじめとする種々のバイオメディカル用途が注目されている。 Kobunshi, Vol.40 , p.260 (1991)

プライマー(下塗り材)<p384>
シーリシグ材と各種部材(以下,被着体という)との接着性をより強固に確保するために,シーリング材を施工する前に,あらかじめ被着体に塗布する液状の下塗り材のことをいう。  したがって,プライマーはシーリング材と被着体との両方に接着する機能が必要である。  プライマーは通常一液型であり,ウレクン樹脂,エポキシ樹脂,オルガノシランなどを主成分とし,溶媒として現状では有機溶剤が使用されている。  被着体の種類たとえばアルミニウム,ガラス,プレーキャストコンクリートなどやシーリング材の種類により使用するプライマーの種類も異なるため,シーリング材製造会社の指定するプライマーを使用することが必要である。 Kobunshi, Vol.40 , p.391 (1991)

フラクタル,フラクタル次元<p200>
「雲の一部を望遠鏡などで拡大して観側しても,肉眼で見たものと同じような形に見えるはずであり,さらに倍率をいろいろ変えても,観測される形はどれも似たようなものになっているはずである。(中略)フラクタルとは,これらの,特徴的な長さをもたないような図形や構造,現象などの総称である」1)。「Fractalという言葉はMendelbrot(1924~)が1975年に新しく作った言葉で,語源はラテン語の形容詞fractusであり,物が壊れて不規則な破片になった状態を表している。したがって,フラクタルという言葉に対しても,小さな破片や大きな破片がたくさん集まったような状態を思い浮かべておけば,大きな誤解は生じない。このフラククルを定量的に表す量はフラクタル次元である。フラクタル次元Dの一般的,あるいはより厳密な定義は適当な成書2」を参照して頂くとして,凝集体に即したDはN(r) = rDで与えられる。ここでN(r)は半径rの面積(体積)中に存在するクラスターに属する要素の数である。迅速凝集系の場合三次元空間ではDは1.7になるケースが多く,右のような凝集モデルが提出されている2)。このモデルのDは二次元空間では1.4 ( = n5/1n3) となることは明かである。 Kobunshi, Vol.41 , p.211 (1992)

プラスチックマイクロバルーン<p251>
マイクロバルーン(微小中空粒子)として,ガラス,シラス,カーボン,パーラィト,フラィアシュなどの無機質バルーンやフェノール,エポキシ,尿素樹脂バルーンなどの熱硬化性樹脂バルーンが知られている。そのほかに,プラスチックマィクロバルーン(熱可塑性樹脂によるマィクロバルーン)がある。これらの代表的なものは,発泡性ポリスチレンビーズを発泡させたもので,予備発泡→熟成→成形→乾燥という工程をとる型内発泡法によるポリスチレンフォームに主として利用されている。さらに,熱膨張性(発泡性)マイクロカプセルを発泡させたものがあり,シェル組成としては,塩化ビニリデン系,アクリロニトリル系などがある。真比重0.02~O.03,平均粒子径50~150μm,シェル厚はお よそo,1~o.2μm程度である。 プラスチックバルーンは,他のバルーンと比べ,真比重が低く,耐圧性に優れている反面,耐熱性にやや劣る面がある。軽量化,多孔質化,クッション性付与,断熱性向上,爆薬鋭感剤などに利用されている。さらに,音響学的圧コンバーターとしての利用も考えられている。 Kobunshi, Vol.40 , p.260 (1991)

プローブ法<p434>
ある系の中で何がおこっているのかを観察したい場合に,ある物理手段によって測定可能な置換基や分子などを積極的に系中に導入し,その測定データから系中のミクロ情報を得る手法をいう。いわば,分子のスパイを送り込んで情報収巣を行う方法である。もともとプローブとは探り針のことで,探査用ロケットの意味もある。物理手段としては,紫外可視吸収・蛍光・燐光・ESR・NMRなどさまざまな方法があり,濃度,粘性,極性,体積,時間変化,相互作用など知りたい情報に応じて多様なプローブ法があるといえる。また,プローブとなりうる分子形態も,側鎖フェニル基自体が蛍光を発し蛍光プローブとなりうるポリスチレンのように系固有のものもあれば,高分子末端や鎖中に化学修飾した置換基の挙動をプローブとしたり,高分子溶液中に添加した低分子の挙動をプローブにして情報を得る場合もある。プローブ法では,(1)導入したプローブ分子種によって系が乱されていないか,(2)プローブから得られる情報の中に,観察したい系からの情報が実際にどのように含まれているのか,ということが問題になる。 Kobunshi, Vol.43 , p.438 (1994)

ベシクル<p476>
 細胞内で周囲の原形質から明確に区画され,水溶液を満たした空間. 動物細胞では空胞といわれることが多い。一重の単位膜(液胞膜)で仕切られている(生物学辞典)。この単位膜は両親媒性化合物である生体脂質を主成分とする分子二重層から成り立っている。これらの脂質がベシクルを形成するには,両親媒性化合物の優れた自己組織性に由来する水中での白発的な秩序構造形成が重要な要素となる。超音波照射や加熱等の方法で水中に分散したベシクルは,500Aから1ミクロン程度の直径であるが,内水相に種々の化合物を保持することができるために,非常に微細なマイクロカプセルとして医薬物の徐放効果が研究されている。また,最近では生体脂質と同様な自己組衛性をもつ多数の人工両親媒性化合物が開発されている。これらの膜化合物では1本から4本のアルキル鎖がカチオン,アニオン,非イオン性等の親水基と組み合わされており,その内のあるものは水に分散させると安定なベシクルを形成する。 Kobunshi, Vol.41 , p.484 (1992)

ポアソン比<p554>
一様な太さの棒を一軸伸長(圧縮)すると,棒は横方向(変形を印加した方向と垂直な方向)に縮む(伸びる),伸長(圧縮)方向のひずみ(ε∥)と横方向のひずみ(ε⊥)の比(ε⊥/ε∥)は弾性限度内では一定値となる。ポアソン比(μ)はこの比に負号を付けた量としてμ=-(ε⊥/ε∥)で定義される。等方性物質では,μは印加したひずみの方向によらない物質固有な値を示す。μは広い意味でヤング率などと同じ弾性定数の1種である。弾性定数のうち独立なものは2個だけなので,μ以外の1個の弾性定数が求まれば残りの弾性定数は計算で求めることができる。μは理論的には-1≦μ≦(1/2)になるが,μ = 1/2のときは変形印加の前後で体積の変化はない。ゴムのμは1/2に近いことが知られているゲルのμは実験条件により異なる値を示すことがある。例えば,空気中で実験して得られたμはゲルに固有の値であるが,溶媒中でゲルに一軸伸長変形を印加したときに得られるμは変形の印加により誘起されるゲル中の溶媒分子の数の変化も反映した値となる。 Kobunshi, Vol.43 , p.558 (1994)

ポーラロン・バイポーラロンモデル<p820>
共役系高分子においては,電子受容体(アクセプター)や電子供与体(ドナー)を添加(ドーピング)すると導電率の著しい上昇が認められる場合がある。この場合の導電性発現のメカニズムは,ポリアセチレンのような縮退した系ではソリトン,または荷電ソリトンで,また,ポリピロール,ポリチオフェン,ポリ-p-フェニレンのような非縮退の系ではポーラロン・バイポーラロンモデルで説明されている。共役系高分子とアクセプターとの反応では正の電荷をもったポーラロン(イヒ学的表現ではラジカルカチオン)が,ドナーとの反応では負の電荷を持ったポーラロン(ラジカルアニオン)が形成される。電荷が共役系高分子鎖を強く歪ませるのでポーラロンとよばれている。さらにドーピングが進行すると,2価の電荷が対をなしたバイポーラロン(ジカチオン)が生成する。これらのエネルギー準位が共役系高分子の価電子帯と伝導帯の間に形成されることにより,導電性が発現する。ポーラロン・バイポーラロンの存在は,近赤外・赤外部に現れる特徴的な吸収スペクトル等によって確認されている。 Kobunshi, Vol.41 , p.833 (1992)

ポッケルス効果/電気光学効果<p646>
 光波の周波数に比べてゆっくり変化する交流電界または直流電界を物質に加えると,屈折率が変化する現象を電気光学効果(Electro-optic effect)という。屈折率が印加電界の一次に比例する場合をポッケルス効果(Pockels effect)あるいは一次電気光学効果といい,電界の二乗に比例する場合をカー効果(Kerr effect)あるいは二次電気光学効果という。広義の電気光学効果には印加電界により物質の吸収,反射,散乱などの物質の光学的性質が変化する現象を含み,液晶における分子配向による光学特性変化, シュタルク効果,フランツ・ケルディシュ効果などが知られている。ポッケルス効果は電気分極と電界との間の非線形性に起因するものであり,二次の非線形光学効果の一種であり,ポッケルス効果を示すためには中心対称性の無い材料である必要がある。ポッケルス効果は印加電界によって屈折率楕円体の微小な変形が起きる3階テンソルγmj (m = 1~6, j = 1~3)(一次電気光学係数)により表現される。ポッケルス効果は,印加電界によって屈折率の大きさを制御できるので,光変調器,光偏向器などの有用なデバイスに利用される。 Kobunshi, Vol.41 , p.662 (1992)

ホットタック性<p402>
 ヒートシール性材料の熱間シール性をホットタック性とよぶ.熱間シール性とは例えば自動包装において,加熱されたヒートシール部が十分冷却されない高温状態でシール部に充てん物の重力や充てん衝撃力が作用したときの剥離抵抗力を意昧する。  ホットクック性の良否は一般的には,一定のヒートシール条件でシール温度を変化させ,充てん物の重量によるシール部の剥離長さ,あるいは剥離強度の大小によって表わされる。広い温度範囲で安定した熱間シール性を示すことは,高密封,高速製袋を可能にし,運転条件の自由度も広く,容易な作業管理と信頼性の高い材料といえる。ホットクック性に影響する要因は冷却固化する段階で溶融張力の大小,シール界面の汚染,ブリード物の存在による。溶融粘度が高く,その温度依存性が大きく,結晶化温度が高く過冷却温度が小さいなど,ポリマー特性によって決定づけられる。2次的にはシール界面の央雑物,熱酸化劣化物,添加剤ブリードアウトなど界面接着力に影響を与える。
Kobunshi, Vol.41 , p.410 (1992)

ホットメルト接着剤<p470>
ホットメルト接着剤とは,JIS K6800によると溶融状態で塗布し,冷えると固まって接着する接着剤である。ISO472,ASTM D907 も同じ定義である。  本質的に熱可塑性樹脂や熱可塑性エラストマーが主成分で,さらに粘着付与剤,可塑剤,酸化防止剤や,場合によっては充てん剤を加えてホットメルト接着剤にする。主成分は,EVA,EEAなどの共重合体,ポリアミド,熱可塑性ポリエステル,熱可塑性エラストマー(SBS,SIS,SEBS)などである。  最近ではホットメルト接着剤の最大の短所である,耐熱性が低い点を改良した,いわゆる反応性または熱硬化性ホットメルト接着剤が上市され始めている。  例えば,湿気硬化形のポリウレタン系がある。その他,末端カルボキシル基含有の特殊ポリエステル樹脂と組合せたエポキシ樹脂系(潜在性硬化剤併用)の反応性ホットメルト接着剤(170~190℃,20~30分加熱)は油面鋼板への接着性,溶接接着性を示すという。  反応性のものは建材関連では各種コア(芯)によるパネルなどに,自動車関連ではほとんどの内装部品や一部外装部品などに実用化されつつある。 Kobunshi, Vol.43 , p.482 (1994)

ホッピング伝導<p579>
不規則構造をもつある種の固体で実現する電気伝導の機構。金属や通常の半導体における自由電子による電気伝導に対して,高分子半導体(非晶質半導体)内には,構造の不規則性があり,エネルギー深さの異なる種々の局在準位を含んでいるために電子的キャリヤーはこれらの局在準位間を跳躍(ホッピング)することになる。これをホッピング伝導という。このような系では不規則構造のため結晶でいうバンドギャップ内にも多くの不純物準位が存在し,その結果バンドが山と谷をもつ形となる。ギャップの中央付近(谷)には局在しており,そこから遠く離れたエネルギーをもつキャリヤーは通常のバンド伝導に従う。ここで電子や正孔が急激に動けなくなる境界を移動度ギャップと定義する。移動度ギャップ内にあるキャリヤーは分子に強く束縛されているのでホッピングで移動するしかない。隣り合う分子間でのホッピングでは移動に要するエネルギーをEとすると,伝導度の温度依存性は,(σ=σ0exp(-E/kT)のように表わされる。一方,温度が低くなると熱エネルギーが不足して,隣りへのホッピングが難しくなり,キャリヤーは遠くにある最も移動しやすい場所ヘジャンブするようになる。これを広領域ホッピングという。 Kobunshi, Vol.42 , p.581 (1993)

フィブリル化<p724>
射出成形・紡糸などした熱可塑性ネマチック高分子液晶(LCP)の物性上の特徴である高強度・高弾性率は,分子が高度に配向した組織に起因し,溶融時に液晶状態をとりせん断・伸張流動下で容易に分子配向するという,LCP特有の性質によるものである。LCPをPA6などの熱可塑性ポリマー基材中に分散混合し押し出し成形するとLCPが直径数μm~数10μmの繊維すなわちフィブリルを形成し,基材を補強する。分散相が粒子形状をとる一般のポリマーブレンドと異なっており,LCPの液晶性によりフィブリル形態の安定性,フィブリル内の分子配向が発現しているものと考えられる。このフィブリル化に必要な条件として,LCPと基材ポリマーの粘度比,LCPの含有量,押し出しダイでのせん断流動,押し出し後の延伸などが着目されており,特に延伸比を大きくすることにより補強効果の著しい向上が見られる。この複合材を構造材料として見たとき,あらかじめ繊維を作り複合化する既存の強化プラスチックと製造法の面で大きく異なり,補強相のフィブリル化と同時に(in-situ)複合化を行うことになる。 Kobunshi, Vol.43 , p.744 (1994)

光原子価異性化<p919>
原子核間の相対的位置が動くと同時に,結合をつくっている電子の配置が変わることにより起こる異性化が原子価異性化であり,この異性化が光照射により進行する場合光原子価異性化とよぶ。例としては,光環化付加反応などがあり,結果として生成する小員環構造に光エネルギーが歪みエネルギーとして蓄積されることになる。また,逆異性化は熱的には軌道対称性保存則の禁制反応であることから原則的には起こらないが,適当な触媒の存在下あるいは特定波長の光照射により温和な条件ですみやかに高収率で進行する。その際,分子内に蓄積された歪みエネルギーは熱として放出される。したがって,この異性化および逆異性化反応が高い量子収率で可逆的に進行すれば,効率のよい光-熱変換系を構築することが可能となる。これまで知られている光原子価異性化系の中で,ノルボルナジエン?クワドリシクラン系が異性化の蓄熱量(20~26Kca1/mol),量子収率(0.6程度)および選択的な可逆性の点で最も優れていることから,光-熱変換材料への応用が期待されている。 Kobunshi, Vol.42 , p.932 (1993)

光電気化学エッチング<p459>
半導体産業において表面のエッチングは重要なプロセスのひとつである。例えばシリコンのウエットプロセスでは,フッ化水素(HF)水溶液を用いる。この場合,HFはシリコンとは反応せずに酸化シリコンのみを溶解させる性質を利用する。電気化学反応と併用すると,p型シリコンをプラス極にしてHFを含んだ電解質溶液中で電流を流すと,電解質溶液と接触している部位のシリコンが酸化され,酸化シリコンが生成する。これは溶液中のHFによってエッチングされ, Si表面が得られる。このプロセスは電気化学的エッチング とよばれる。最近このようにして作製したシリコンが可視域にエレクトロルミネッセンスやフォトルミネッセンスを示すことが見いだされ,ホットな話題になっている。一方,n型シリコンの場合はキャリアーが電子であるため,プラス極に用いても溶液界面にショットキー障壁を生じ電流は流れない。しかし,シリコンのバンドギャップよりも大きなエネルギーを持つ光を照射すると,電子・正孔対が生成し,電流が流れる。そこで光照射した部位のみがエッチングされる。これを光電気化学エッチングと呼ぶ。 Kobunshi, Vol.42 , p.489 (1993)

非晶性パーフルオロ樹脂<p773>
この一群の新規高分子材料は名の示す通り非結晶性で完全にフッ素化された。すなわちC-F, C-C,C-O結合のみからなる高分子材料である。完全フッ素化ポリマーは,フッ素原子の大きさと極性のため,高度の規則性, したがって高い結晶性をもつのが通常でフッ素樹脂の特徴となっている。この分子構造に含酸素環状構造を導入することによって,高いガラス転移温度をもちながら(>100℃)規則性を崩し非結晶性となることが,旭硝子の「サイトップ」(1988)およびアメリカ・デュポンの「テフロン」AF(1989)の開発によって明らかとなった。これらの材料は非結晶化により光散乱がないうえ, 上記のような結合しかもたぬため,近赤外光,可視光に対して高い透明度をもつだけでなく200 nm の紫外光にも50%以上の透過度を示す。このように紫外線に透明でありながら劣化に対し安定なことは他の有機材料に見られぬ特微である。ユニークな光学的特性に加えて,従来のフッ素樹脂のもつ耐熱性,耐薬品性,電気特性,表面特性を合わせもつ非結晶性パーフルオロ樹脂は,今までになかった先端新素材として,多くの応用が期待されている。 Kobunshi, Vol.41 , p.782 (1992)

非破壊評価(NDE ; Nondestructive Evaluation)<p398>
非破壊評価は, 試料に損傷を与えることなく,その試料の傷,材質,状態などを探知,評価することをいう。非破壊評価は,特に高強度材料を極限もしくは極限に近い状態で利用しようとするとき,材料の信頼性をチェックするために行われる。  超音波は,非破壊評価法の一つとして,金属,プラスチックス,セラミックス,複合材料において破壊を誘発するような表面下に隠れた傷を見い出す手段として用いられる。固体試料の表面から内部に向かって発振された超音波パルスは,界面,傷,格子, 欠陥など不連続部分によって反射される反射波を解析することによって傷, 材質の相異,寸法,被覆厚さの変動などを高速度で検査することができる。この方法は超音波探傷法とも呼ばれる。近年のエレクトロニクスとハードウェアの進歩によって,超音波法の精度,解像度,効率はいずれも高くなっている。  非破壊評価法として,他に,放射線の透過,磁気,電磁誘導などを利用する方法がある。 Kobunshi, Vol.42 , p.416 (1993)

表面弾性波素子<p462>
表面弾性波(Surface Acoustic Wave:SAW)とは固体表面を伝搬する音波のことで,1885年に理論的に見出されて以来, 電磁波には無い優れた性質を利用して種々の信号機能素子に用いられてきた。圧電体基板上にすだれ状電極を作製し,交流電圧を印加すると圧電効果により基板表面付近に周期的な歪が生ずる。この歪によるSAWの波長がすだれ状電極の電極周期に一致する場合,各すだれ状電極から励起された表面波が同相に加わるのでSAWは増幅されるが,波長が電極周期に一致しないとき,SAWは干渉しあうことにより減衰する。この周波数特性を積極的に利用したものがSAWフィルタであり,その機能する周波数は用いる圧電体におけるSAWの伝搬速度に比例し,すだれ状電極の線幅に反比例するので,伝搬速度が大きい物質ほど高周波化に有利である。近年,GHz帯での通信システムの開発のなかで,GHz領域で機能するSAWフィルタが要望されているが,LiTaO3等の従来材料では電極線幅をサブミクロンにする必要がある。そこで,SAW伝搬速度が最も大きいダイヤモンドとZnOの積層構造を用いたSAWフィルタが試作され,良好な結果が得られている。 Kobunshi, Vol.42 , p.489 (1993)

表面安定化強誘電性液晶<p732>
強誘電性液晶が外部電界により自発分極が反転することを「自発分極」の項で述べたが,それを表示素子に応用する場合には人間の目で識別できるような光学的変化として取り出す必要がある。 通常用いられるカイラルズメクチックC液晶では局所的にみれば各分子の双極子モーメントは配向しているが,巨視的には分子の長軸方向が少しずねじれ,(螺旋を巻き)全体としての自発分極は0となる。  ところが,強誘電性液晶を2枚の基板で挾んだ場合には基板表面の影響が加わる。基板の間隔を極端に狭くすれば表面の影響力が分子が螺旋構造をとろうとす力を上回り,螺旋構造が消失する。この時,液晶分子には基板に対して2つの'安定な配向方向が存在する。このような状態の強誘電性液晶に電界を印加すると,その電界の向きにより液晶分子は2つの配向方向をとり得る。このように基板の表面の影響力により強誘電性液晶の配向方向を二値化したものを表面安定化強誘電性液晶(Surface Stabilized Ferroelectric Liquid Crystal,SSFLC)と呼ぶ。 Kobunshi, Vol.43 , p.744 (1994)

ファウンテン流動 <p137>
射出成形において金型内を流動する高分子は,金型と高分子との滑りによって高分子が金型内を充てんするのではなく,高分子流動の先端領域では,内部から溶融高分子があたかも噴水が湧き出すように流動する。高分子が噴出しながら流動することから,ファウンテン流動(ファウンテンフロー)と呼ばれている。このとき,ファウンテン流動部では,高分子は引き延ばされて,その状態で金型に接し急冷されてスキン層・固化層を形成する。金型内を流れる速度は中心付近が最も速く,金型面および固化層に近づくにつれ遅くなる。この板厚方向での速度勾配(せん断速度)と,金型からの冷却による粘度増加によって,板厚方向にせん断応力分布が発生する。通常,せん断速度は同じ板厚であれば射出速度が速いほど大きくなり,板厚が薄くなるほど大きくなる。 Kobunshi, Vol.59 , p.157 (2010)

ポジトロニウム <p737>
ポジトロニウム(positronium)とは,電子と陽電子が対になった束縛状態であり,Psと記される。物質中に陽電子が入射した場合,物質中の電子と陽電子は対消滅してγ線を放出するが,消滅する前に高分子の中ではポジトロニウムを形成する場合が多い。ポジトロニウムには,それを構成する電子と陽電子のスピンの向きによってパラポジトロニウム(p-Ps)とオルトポジトロニウム(o-Ps)が存在し,真空中ではp-Psの寿命は125ピコ秒でありおもに2光子を放出して消滅する。一方,o-Psの寿命は真空中では142ナノ秒と比較的長く,おもに3光子を放出して消滅する。ポジトロニウムは,物質中では電子密度が低い空孔・空隙に捕捉されやすい。高分子の分子鎖間の空隙(自由体積)では通常,空隙表面の原子の電子と陽電子が消滅するピックオフ消滅により,空隙のサイズが小さいほどo-Psの寿命は短くなる。これによって,サブナノメートルからナノメートルオーダーの空孔・空隙のサイズを見積もることができる。 Kobunshi, Vol.58 , p.741 (2009)

分子ワイヤ <p801>
分子ワイヤという語は,現在,さまざまな意味で用いられており,単に棒状の分子をさす場合もある。単一分子,あるいは,小数分子で電子機能素子を構築しようとする分子エレクトロニクスの分野では,ユニット間での電子のやり取りを媒介する分子導線としての機能を担う。電気回路の最も基本となる要素が導線(ワイヤ)であるように,分子エレクトロニクスの機能を実現する最も基本的なデバイス要素である。分子ワイヤは情報の伝達を担う電荷を受容し比較的長い距離にわたってそれを伝える必要があるため,一般的には長く高度に共役した分子をさし,鎖長伸長によって共役の維持効果が大きい(有効共役長の長い)分子が有望視されている。共役オリゴマーの研究分野においては,合成法を工夫しさえすればポリマーに匹敵する巨大な分子量をもつ単一分子の分離精製と構造同定が可能になっており,単一分子ワイヤの導電特性・導電機構の解明や,光機能やスイッチング機能を付与した分子ワイヤの開発,これらを用いた分子エレクトロニクス素子の実現が興味深い重要な研究対象となっている。 Kobunshi, Vol.58 , p.809 (2009)

包接錯体 <p405>
環状構造や筒状構造などを形成する分子あるいは分子集合体は内部に空間が存在するため,その空間に対応する大きさの分子を非共有結合性相互作用によって取り込む(包接する)ことがあり,このような相互作用によって形成される化合物を「包接錯体」と呼ぶ。包接する分子をホスト,包接される分子をゲストということから,このような現象を取り扱う分野はホスト-ゲスト化学と呼ばれる。 代表的なホスト分子として,環状化合物であるクラウンエーテル,シクロデキストリン,カリックスアレーンなどが知られており,その内部空間のサイズに応じて選択的にある種のゲストを包接することができる。一方,筒状の空間を有するらせん状のアミロースも代表的なホスト化合物であり,ヨウ素に対する包接現象は,ヨウ素-デンプン反応として古くから知られている。 また包接錯体は,医薬品,食品,化粧品などの一般生活にかかわる分野でも広く利用されており,たとえばシクロデキストリンは,難水溶性医薬品の可溶化や食品および化粧品中の香気物質などの揮散しやすい成分の安定化などへの応用がなされている。 Kobunshi, Vol.59 , p.409 (2010)

ブルー相 <p465>
ブルー相とは,液晶相の1種で,コレステリックブルー相とスメクチックブルー相に大別されるが,コレステリックブルー相は単にブルー相と呼ばれることが多い。本記事においてブルー相と称されているのはコレステリックブルー相のことである。ブルー相はさらに低温よりブルー相Ⅰ,ブルー相Ⅱ,およびブルー相Ⅲの三種が知られている。ブルー相Ⅰとブルー相Ⅱに関しては1980年代に集中的に研究され,これまで次のような特異な性質が明らかとなっている。 1)格子定数が数100 nmに及ぶ巨大な立方格子を形成する。ブルー相Ⅰは体心立方晶,ブルー相Ⅱは単純立方晶の対称性を有する。 2)三次元空間を連続的につなぐことのできない二重ねじれ配列を基本構造とする。二重ねじれが円柱状につながった二重ねじれシリンダーが互いに直角に接し合い,全体として立方晶を形成する。 3)配向欠陥と共存する。この欠陥は強度が-1/2のディスクリネーションと呼ばれる線状の欠陥で,ブルー相中で三次元的に規則的に配列している。ブルー相は欠陥なしには存在できない。 Kobunshi, Vol.59 , p.481 (2010)

プラズマ処理とコロナ放電処理<p845>
プラズマ処理:強電磁場または高温の条件下にある気体は,イオン,電子,中性粒子の混合物となり,電気的には中性の状態になることがある。この状態を気体プラズマという。二つの電極をそなえた密閉容器に低圧気体(10-1~1 Torr)と処理材料を入れ,数百ボルトの電圧を加えて,気体プラズマを発生させて材料を処理する低圧プラズマ法が基本的である。電源は直流,高周波,マイクロ波が使われる。非重合性ガス(Ar,N2,O2など)をプラズマにする方法(表面活性化)と,重合性化合物蒸気を用いて材料表面に高分子薄膜を形成させる方法(プラズマ重合)がある。 コロナ放電処理:大気中で,一方の電極から,別の電極に誘電体とともに置かれた材料に対して放電を行い,材料表面に電子やイオンを衝突させて,ラジカルやイオンを生成させる処理。これらに大気中の成分が反応して,各種の極性基が導入される。電極間の大気がプラズマ状態となり,青白色の光(名称コロナの由来)が生ずる。電極と試料を置くステージと高周波電源から構成される。高周波電源は発振器(周波数:9.6~45 kHz)と高圧トランス(出力電圧:5~20 kV)からなる。 大気圧プラズマとは,大気圧下で各種の放電をさせて発生するプラズマである。コロナ放電は大気圧下でプラズマが生ずるので,大気圧プラズマの方法に含められる。 Kobunshi, Vol.59 , p.857 (2010)

不均一系オレフィン重合触媒<p849>
Ziegler-Natta触媒,Phillips触媒に代表される粉末状の固体オレフィン重合触媒を指す。Ziegler-Natta触媒は,MgCl2粉末上にTiClx(x=3~4)活性種前駆体を担持したものであり,活性化剤として有機アルミニウムを添加することでエチレンやプロピレンの重合に高活性を示す。とくに,ドナーと呼ばれる一連のルイス塩基化合物を添加した触媒は,プロピレン重合においてきわめて高い立体選択性を与え,ポリプロピレンの工業生産の99%を担う。Phillips触媒は,Cr酸化物をSiO2粉末上に担持したものであり,活性化剤なしで適量の長鎖・短鎖分岐を含む広分子量分布の高密度ポリエチレンを与える。このようなポリエチレンは燃料タンクなどの中空体の成形に適しており持続的な需要がある。その他に,メタロセン錯体等の均一系触媒をSiO2粉末などに担持した比較的新しい不均一系オレフィン重合触媒もランダムコポリマーなどの製造で実用化されている。 Kobunshi, Vol.59 , p.857 (2010)

フリージング剤<p118>
ダブルパターニング法では 1 番目のレジストを露光・現像して得られたパターン上に次のレジストを塗布し,露光・現像を行い 2 番目のレジストパターンを形成する。2 番目のパターン形成中に最初のレジストパターンはダメージを受けやすいので,その形状を維持させるために化学的または物理的処理が行われる。その一つがフリージング剤による硬化である。たとえば,溶媒に樹脂,架橋剤を溶解し,これを 1 番目のレジストパターン上に塗布し,加熱する。この加熱処理でレジストパターンとフリージング剤との間で架橋反応が進行する。その後未反応のフリージング剤を現像で除去する 1)
1)K. Ito et al., J. Photopolym. Sci., Technol., 23, 199(2010)

Kobunshi, Vol.60, p.134 (2011)

分子レジスト材料<p122>
低分子量化合物を基盤としたレジスト材料のこと。電子線(EB)や極端紫外線(EUV)レジスト材料に求められている高解像度レジスト材料として開発されてきた。高分子レジスト材料は,分子量分布があるが,分子レジスト材料は分子量分布がなく単分散である。このことが解像度やパターンの粗さ(LER or LWR)に有効であると期待されている。分子レジストの多くは分子量が数百~千程度であることが多く,その製膜性や機械的特性を考慮した分子設計となっている。Kobunshi, Vol.60, p.134 (2011)

光ナノインプリント<p130>
光ナノインプリントは,液体状の光硬化樹脂を基板に滴下ないしスピンコート法などにより塗布し,光硬化樹脂を硬化させる光に対して透明な材料である石英などの型(モールド)に刻まれた微細なパターン面を光硬化樹脂に押しつけて,モールドの微細パターンの反転形状を形成する手法である。基板が透明であればモールドは透明でなくてもよい。これまでに,2 ~ 3 nm の直径のカーボンナノチューブの形状の転写が可能であることが示されている。熱ナノインプリントでは材料の温度を変化させてインプリントを行うのに対し,光ナノインプリントは室温でプロセスを行うために高精度で高速にプロセスを行え,また,熱ナノインプリントで必要となる圧力に対して,1 ~ 2 桁小さい圧力でプロセスを行うことができる。ただし,光硬化樹脂は一般的に数%以上の収縮があり,形成されるモールドの反転形状は収縮を伴った物になる。Kobunshi, Vol.60, p.134 (2011)

配位高分子<p386>
多官能性配位子と金属イオンとの錯体形成によって得られる配位高分子には,一次元,二次元ならびに 三次元構造を有するものがある。近年,多孔性配位高分子(Porous Coordination Polymers,PCP)あるいは金属有機構造体(Metal-Organic Frameworks, MOF)と呼ばれる結晶性の三次元架橋構造の内孔を利用し,ガスの貯蔵・分離,センシング,触媒反応などの応用が展開されている。一方最近では,ヌク レオチドをはじめとする多官能性配位子と金属イオンとの間に形成されるアモルファス構造の配位ネットワークが,さまざまな分子や物質の表面をあたか も水和殻のように被覆する「ゲスト分子適応型の自己組織化」(Adaptive self-assembly)を起こすことが見いだされ,新しい機能創出に向けた展開が期待 されている。Kobunshi, Vol.60, p.390 (2011)