第28回ポリマー材料フォーラムポスター賞選考報告
28PMF
運営委員 辻 昭衛
平成から元号が変わり令和最初となった本年度のポリマー材料フォーラムは、11月21日、22日の両日、名古屋市のウインクあいちで747名の参加者のもと盛大に開催されました。本フォーラムのメインイベントとも言えるポスター発表は、Aセッション:ライフサイエンス・環境材料、 Bセッション:電気・光・情報・エネルギー関連材料、 Cセッション:高性能・高機能材料、 Dセッション:ポリマー材料の設計・合成・加工・解析 の4つのセッションにて総計196件の発表があり、いずれも甲乙つけ難い素晴らしい発表内容、且つ、各発表では活発な議論が展開されました。優秀発表賞は、以下の選考基準に基づく厳正なる審査の上、15件を選出いたしました。
1) 審査対象:196件の応募総数の中で、選考対象希望のあった154件
2) 審査員:セッション毎に、運営委員及び高分子学会フェローからなる審査団を組織化
3) 審査基準:@発表内容:新しい材料および技術としての可能性を見出したあるいは予見される高分子
材料および関連技術 Aプレゼンテーション:質疑に対する適切な応答、ディスカッション Bポスターの論理性・ビジュアル性:発表者がその場にいなくても一見して発表を理解できるような構成、並びに人を引きつける特徴的・魅力的なポスター
審査は公平を期するために全ての選考対象発表に対し、コメンテータを含む審査団数名が聴講、質疑応答を実施し、審査基準に沿った採点を実施いたしました。採点結果を全てのポスター発表終了後に持ち寄り、集計後、各セッションの審査団にて議論、受賞候補者を選定いたしました。それぞれのセッションから提出された選定結果は、ポリマー材料フォーラム運営委員長、副運営委員長、各セッション審査団長からなる優秀発表選考委員会にて厳正に審議し、受賞者を決定いたしました。
今年度のポリマー材料フォーラムは、『ポリマー材料 半端ないって!』と題して、ポスター発表の他にも併催された招待講演、キャリアブース-企業のR&Dってなんだろう?-、大学研究室紹介ブース、第68回高分子学会年次大会ポスター賞受賞招待発表、ランチョンセミナー、イブニングフォーラムなど、産官学の各界から参加された皆さんの交流、議論を促すイベントが目白押しでした。各ポスター発表では、予め定められた発表時間だけでなく、多くのポスターの前で人だかりができ活発な議論が展開されました。発表は、いずれも洗練されたプレゼンテーション、人目を惹くポスター、論理的な質疑応答と、惜しくも受賞を逃した発表の中にも素晴らしい発表が数多く見られました。参加された皆さんが、本フォーラムの趣旨を体現する絶好の機会であったとともに、様々な方々との交流を深め、また、ポリマー材料の明るい未来を確信できる貴重な経験となったのではないでしょうか?
最後に、優秀発表賞を受賞された皆さんに受賞のお祝いを申し上げるとともに、本フォーラムを盛り上げていただいた発表者、聴講者の皆さん、フォーラムの運営を担っていただいた運営委員長を始めとする運営委員の皆さん、円滑な運営を進めていただいた事務局の皆さんに感謝し、また、終日選考に尽力下さった審査員の皆さんにも改めて感謝申し上げ、優秀発表賞選考の報告とさせていただきます。
ポスター賞受賞者
Aセッション:表面張力を利用したフナムシ模倣流路の新展開
:高性能逆浸透膜エレメント
Bセッション:電装部品の熱マネージメントに有効な高熱伝導性エポキシ系粉体塗料の開発
:コア−シェル型球構造コンポジット化による絶縁等方高熱伝導材料の開発
:長寿命・広域対応・高安全なリチウムイオン二次電池を志向した硫黄変性ポリアクリロニトリル(SPAN)負極の開発
Cセッション:アクリル酸マグネシウムのin-situゲル化反応を利用した液状化対策用地盤注入材
:環状オリゴ糖の自己組織化による擬ポリロタキサンナノシートの創成
:炭素繊維/合成繊維ハイブリッド基材の耐衝撃向上技術
:エポキシモノリスを利用した共連続架橋体の合成および特性評価
:コアシェル粒子の化学的改質によるコロイドスポンジへの機能付与
:スチレンスルホン酸をベースとした温度応答性ポリマーの特性
Dセッション:反応性官能基を側鎖に有する高分子材料の合成 長谷川 宗弘
:ポリグリセリン骨格を有するアルコキシシランを用いた防曇性ゾル-ゲル膜の創製
:変性セルロースで補強されたポリ乳酸の機械的強度の向上
:医療用インソールに向けた3Dプリンタによるパラメトリカルな構造設計手法
(名工大院工)八重尾 太朗
:高性能逆浸透膜エレメント
(東レ)誉田 剛士
Bセッション:電装部品の熱マネージメントに有効な高熱伝導性エポキシ系粉体塗料の開発
(東亞合成)丹羽 真
:コア−シェル型球構造コンポジット化による絶縁等方高熱伝導材料の開発
(産総研)今井 祐介
:長寿命・広域対応・高安全なリチウムイオン二次電池を志向した硫黄変性ポリアクリロニトリル(SPAN)負極の開発
(ADEKA)撹上 健二
Cセッション:アクリル酸マグネシウムのin-situゲル化反応を利用した液状化対策用地盤注入材
(東亞合成)坪内 隆太郎
:環状オリゴ糖の自己組織化による擬ポリロタキサンナノシートの創成
(東大院新領域)上沼 駿太郎
:炭素繊維/合成繊維ハイブリッド基材の耐衝撃向上技術
(東レ)吉弘 一貴
:エポキシモノリスを利用した共連続架橋体の合成および特性評価
(阪府大工)冨永 蓮
:コアシェル粒子の化学的改質によるコロイドスポンジへの機能付与
(慶應大院理工)大浦 順
:スチレンスルホン酸をベースとした温度応答性ポリマーの特性
(東ソー・ファインケム)重田 優輔
Dセッション:反応性官能基を側鎖に有する高分子材料の合成 長谷川 宗弘
(日本触媒)長谷川 宗弘
:ポリグリセリン骨格を有するアルコキシシランを用いた防曇性ゾル-ゲル膜の創製
(阪本薬品工業)宮路 由紀子
:変性セルロースで補強されたポリ乳酸の機械的強度の向上
(阪大院工)尾崎 愛莉
:医療用インソールに向けた3Dプリンタによるパラメトリカルな構造設計手法
(JSR)光部 貴士