第31回ポリマー材料フォーラム(31PMF)報告

31PMF 運営委員長 魚津 吉弘

 第31回ポリマー材料フォーラム(PMF)がタワーホール船堀で、11月 15、16日の2日間にわたって開催されました。2022年もCOVID-19(コロナ)が大きく日常生活に影響を及ぼし、年初より2度の蔓延防止措置が発令され、在宅勤務や授業・講演会・展示会のオンライン開催が奨励される状況が続きました。ただ、開催方式を最終決定したゴールデンウィーク明けには、第6波の山を越えるとともに重症化リスクの少ないオミクロン株への変異に伴い、スポーツや音楽イベントなどの制限緩和が進みつつありました。今後、蔓延がある程度進んでも行動制限は出ないであろうという予想のもと、当初の予定通りPMFの対面での開催に踏み切りました。
 さて、今回のPMFは「激動する社会。変革を支えるポリマー材料」を主題としました。コロナの影響やロシアのウクライナ侵攻など、世界はますます激動のさなかにあります。このような社会において、たとえば医療においてはコロナウイルスへのmRNAワクチン等の新ワクチンの適用、流通システムではドローンの適用など、多くの変革が起きています。それらの変革においても、直接的に多くのポリマー材料が適用されています。また、ポリマー材料は、日常製品から最先端分野の製品まで幅広く用いられ、日常生活の支えとなっています。本フォーラムを通して産官学の研究者/技術者にポリマー材料に関し大いに議論していただきたいという思いで本主題とした次第です。 本年度も、例年と同様に四つのセッションに分かれて実施しました。ポスター会場では、Aセッション「ライフサイエンス・環境材料」46件、Bセッション「電気・光・情報・エネルギー関連分野」28件、Cセッション「高性能・高機能材料」 64件、Dセッション「ポリマー材料の設計・合成・加工・解析」 53件の合計191件のポスター発表が行われました。また、講演会場では各セッション8件ずつ、計32件の招待講演が実施されました。企業、大学、研究機関からバランス良く発表され、各ポスター・各招待講演で活発な質疑が交わされました。 そして、ポスター発表の中から厳正な審査の結果、合計15件の優秀ポスター賞が選出されました。今回のPMFポスター賞受賞者は「高分子」2023年2月号にて発表されるほか、次回の高分子学会年次大会にて高分子学会長より表彰され、楯が授与される予定となっています。審査の詳細については審査委員長からの報告をご参照いただきたいですが、受賞された発表を改めて眺めて見ると、15件中9件が企業による受賞ですべて応用開発に関するものになっており、PMFの特徴がよくあらわれていると感じております。一方で、数多くの発表を審査していただいた審査員の方々には、かなりの負担を強いることになりました。そのような状況の中でも厳正な審査を粛々と進めていただいたこと、改めて感謝しております。以上の通常の発表に加えて、昨今のPMFで好評を博してきました特別企画も実施しました。1日目の 15日には企業がどんな研究開発をしているかを紹介する学生向けのキャリアブース8件、大学研究室の研究内容を紹介する研究室紹介ブース18件、年次大会ポスター賞受賞者のポスター38件を行いました。2日目の16日には、昼休み時間にランチミーティングと銘うって講演会を開催しました。60名以上の方に参加していただいたのですが、午前中の招待講演が延び時間がタイトとなってしまいました。今後行う場合は昼時間の延長などの工夫が必要と感じております。今回はコロナの影響を受け、懇親会は行わず名刺交換会を開催しましたが、参加者は60名にとどまりました。
 本フォーラムの最終的な参加者数は合計730名にのぼり、コロナ蔓延下にもかかわらず、その影響を受ける前の2019年関西開催時のレベルまで回復しました。参加者の皆様におかれましては、久々の対面での会話を満喫されたようです。また、本フォーラムによる新たなクラスターの発生などの報告もなく、実に中身の濃い2日間を盛況な中で無事終えることができました。これにつきましては運営委員およびフェローの先生方には、テーマ設定やプログラム作成から当日のコメンテーター、ポスター賞審査まで大変なご尽力を賜りました。また、学会事務局の方には会場準備から当日の運営まで円滑で心強い対応をいただきました。さらに、明快でわかりやすい講演・発表をしていただいた諸先生、ポスター発表者、研究室紹介者、企業ブースの説明者、年次大会ポスター受賞者の方々および活発なディスカッションをしていただいた参加者、機器展示にて会を盛り上げていただいたスポンサー等、本材料フォーラムをサポートしていただいたすべての皆様方に心より厚くお礼申し上げます。来年度は東海支部の担当による開催となります。来年こそは、懇親会を含めフルパッケージ楽しめる状況にあることを祈念しております。今後ともこのポリマー材料フォーラムを産官学のポリマー材料に関する交流の場として活用いただければ幸甚です。皆様のご参加とご協力を引き続きよろしくお願いいたします。

ポスター発表(2F 平安・福寿・桃源にて) 名刺交換会の様子

 

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