公益社団法人 高分子学会
第32回ポリマー材料フォーラム
会期:2023年11月30日(木)~12月1日(金)
会場:名古屋国際会議場
第32回ポリマー材料フォーラム(32PMF)報告
32PMF 運営委員長 中村 浩
第32回ポリマー材料フォーラム(PMF)が名古屋国際会議場で、11月30日、12月1日の2日間にわたって開催されました。2023年5月にはCOVID-19(新型コロナ感染症)が5類感染症に変更になり、日常生活だけでなく、大学、企業での研究活動も以前の形を取り戻しつつあり、多くの学会においてもコロナ以前と同様の対面での実施が再開しておりました。PMFにつきましても昨年から対面での開催を再開し、今回はさらにイブニングフォーラムも開催して、フルオープンな形で実施いたしました。
さて、今回のPMFは「新たな時代を切り開くポリマー材料」を主題としました。2020年より吹き荒れた新型コロナは人々の行動様式、生活様式に影響を及ぼすとともに生産活動へも大きく影響し、世の中の動きが停滞するのではないかと懸念されました。さらにロシアのウクライナ侵攻やトルコ、シリアの大地震など予期せぬ紛争や災害なども起こり、改めて安全、安心な世の中が切望される状況にあります。そのような中、これらの予測不可能な出来事以前から地球温暖化の課題に端を発して、カーボンニュートラル、サーキュラーエコノミー、そしてSDG’sが一層強く求められる時代に入っています。そのように、安全、安心、快適でサステナブルな地球環境の実現に向けて、日本の技術力とその国際競争力をさらに向上させていくためには、産官学のそれぞれの研究開発活動の促進とともに、活発な交流と連携などを通じて技術イノベーションを生みだしてゆく必要があります。
本ポリマー材料フォーラムは、産学協同を目途とした材料に関する研究発表の交流のためのシンポジウムであり、高分子材料の応用に関する最先端の情報が得られるとともに、他分野のユーザーの方々との交流や大学・研究機関の方々との議論もできる非常に貴重な機会になると考えています。
本年度も、例年と同様に四つのセッションに分かれて実施しました。ポスター会場では、Aセッション「ライフサイエンス・環境材料」43件、Bセッション「電気・光・情報・エネルギー関連分野」34件、Cセッション「高性能・高機能材料」74件、Dセッション「ポリマー材料の設計・合成・加工・解析」70件の合計221件と過去最高件数のポスター発表が行われました。また、講演会場では各セッション8件ずつ、計32件の招待講演が実施されました。企業、大学、研究機関からバランス良く発表され、各ポスター・各招待講演で活発な質疑が交わされました。そして、ポスター発表の中から厳正な審査の結果、合計17件の優秀ポスター賞が選出されました。今回のPMFポスター賞受賞者は「高分子」2024年2月号にて発表されるほか、次回の高分子学会年次大会にて高分子学会長より表彰され、楯が授与される予定となっています。審査の詳細については審査委員長からのご報告の通りですが、受賞された発表を改めて眺めて見ますと、17件中11件が企業、研究機関による受賞で、すべて応用開発に関するものになっており、PMFの特徴がよくあらわれていると感じております。一方で、数多くの発表を審査していただいた審査員の方々には、かなりの負担を強いることになりました。そのような状況の中でも厳正な審査を粛々と進めていただいたこと、改めて感謝しております。以上の通常の発表に加えて、昨今のPMFで好評を博してきました特別企画も実施しました。企業の研究開発を紹介する学生向けのキャリアブース11件、大学研究室の研究内容を紹介する研究室紹介ブース13件、機器展示ブース22件、そして第72回年次大会でのポスター賞受賞者の招待ポスター32件の発表も行いました。さらに、1日目の夕方には4年ぶりにイブニングフォーラムを開催しましたが、153名もの多数の参加者が軽食を取りながらあちこちで活発な研究談議が繰り広げられました。
本フォーラムの最終的な参加者数は合計811名にのぼり、コロナ以前も含めて過去2番目に多い人数となりました。参加者の皆様におかれましては、対面での活発な討議を満喫されたようで、実に中身の濃い2日間を盛況な中で、トラブルもなく無事終えることができました。これにつきましては運営委員の先生方には、テーマ設定やプログラム作成から当日のコメンテーター、ポスター賞審査まで大変なご尽力を賜りました。また、学会事務局の方には会場準備から当日の運営まで円滑で細部まで配慮されたきめの細かい対応をいただきました。さらに、明快でわかりやすい講演・発表をしていただいた諸先生、ポスター発表者、研究室紹介者、企業ブースの説明者、年次大会ポスター受賞者の方々および活発なディスカッションをしていただいた参加者、機器展示にて会を盛り上げていただいたスポンサー等、本材料フォーラムをサポートしていただいたすべての皆様方に心より厚く御礼申し上げます。
来年度は関西支部の担当による開催となります。今後ともこのポリマー材料フォーラムを産官学のポリマー材料に関する交流の場として活用いただければ幸甚です。皆様のご参加とご協力を引き続きよろしくお願いいたします。
招待講演(2号館3F232/233・234にて)
イブニングフォーラムの様子