第29回ポリマー材料フォーラムポスター賞選考報告

29PMF 運営委員 松谷 寛

 2020 年のポリマー材料フォーラムは、11 月 26 日、27 日の 2 日間にわたり開催されました。今回、新型ウィルス (COVID-19) の感染リスクを考慮し、オンサイトからオンラインの開催に変更されました。本フォーラムの一般講演はすべてポスター発表であり、参加者と密にディスカッションできることが特長となっています。オンライン会議システムを使ってこの特長を出せるよう、運営委員会で議論を重ね、今回、1 件につき、形式の異なる 2 回の発表時間を設けました。運営委員として最善を尽くしましたが、これで大丈夫か、不安をいだきながらの開催となりました。そのような状況でしたが、一般講演の件数は例年とほぼ同じ156件であり、運営委員として安どしております。エントリーされたみなさまに感謝いたします。
 当日はそれぞれ 4 セッションに分かれての発表となりました。各セッションの分野は以下のとおりです。A セッション: ライフサイエンス・環境材料、B セッション: 電気・光・情報・エネルギー関連材料、Cセッション: 高性能・高機能材料、D セッション: ポリマー材料の設計・合成・加工・解析。いずれもすばらしい発表であり、それぞれ活発な議論が展開されました。
 今回、以下の基準及び方法により、14 件の優秀発表賞 (ポスター賞) を選出しました。
[審査対象] 全発表のうち、審査希望の107件のポスター発表者を対象とする
[審査員] セッションごとに、運営委員で構成された審査員からなる審査団を結成して審査する
[審査基準] ① 発表内容: 新しい材料および技術としての可能性を見いだした、あるいは予見させる高分子材料および関連技術である。② プレゼンテーション: 質疑に対して適切な応答、ディスカッションができる。③ 発表資料の論理性・ビジュアル性: 容易に発表の内容を理解できるような構成、ならびに人を引きつける特徴的・魅力的な発表資料である
[審査方法] 上記基準に基づき、審査員が各発表を聴講し、質疑応答を経て候補者を選考しました。選考にあたり、発表 1 件につき 3 名以上の審査員が審査し、それぞれ点数化することで、審査の公平性を確保しました。
[審査経緯] ポスター発表終了後、まず、セッションごとに採点結果を集計し、審査団で議論し、受賞候補者を選定しました。次に、ポリマー材料フォーラム運営委員長、副運営委員長、各セッション審査団長からなる優秀発表選考委員会にて、それぞれのセッションから提出された候補者を厳正に審議し、受賞者を決定しました。
 先に述べたとおり、例年と異なる発表形式となりました。審査希望を含むすべての発表がそれに合わせて工夫されており、質の高い内容となっていました。惜しくも受賞を逃した発表者のみなさまも、引きつづき研究開発の成果をポリマー材料フォーラムで発表していただくことを希望します。また、一般講演の発表方法については改善の余地があると考えています。ご意見、要望等がありましたら、高分子学会事務局までお知らせください。
 文末となりますが、優秀発表として受賞された皆さんに受賞のお祝いを申し上げます。オンライン開催という難しい状況のなかで、本フォーラムを盛り上げていただいた、発表者、聴講者、また、出展頂いた企業のみなさま、研究室のみなさま、年次大会・討論会の受賞者のみなさまに、心からお礼申しあげます。開催にあたり例年以上に尽力いただいた運営スタッフのみなさま、審査団員のみなさまに感謝いたします。最後に、ポリマー材料フォーラムがより充実したものになることを祈念して、第 29 回ポリマー材料フォーラムポスター賞選考報告といたします。

ポスター賞受賞者

Aセッション:
分子量と置換基を制御したα-1,3-Glucanエステル誘導体の合成と物性評価
(東大院農)深田 裕哉
 
バイオマス芳香族ポリエステルの合成と特性に関する基礎研究 
(三菱ケミカル)加藤 聡
 
昆虫の発色機構から着想を得た金属調光沢材料の作製と色調制御 
(千葉大院融合理工)小島 佑樹
 
Bセッション:
低誘電特性と接着性を両立した新規エポキシ樹脂の開発
(三菱ケミカル)渡邊 隆明
 
可溶性ポリフェニレンエーテルの合成と低損失材料への応用 
(太陽ホールディングス)関口 翔也
 
Cセッション:
ポリロタキサン架橋EPDMエラストマー中の微結晶配向による強靭化
(東大院新領域)安藤 翔太
 
撹拌法による両親媒性棒状ヤヌス粒子の作製
(神戸大院工)大西 未来
 
インクジェット対応可能な吸湿、透明性を有する光硬化性材料の開発(4)
(パナソニック)池上 裕基
 
エステル交換型動的共有結合樹脂を適用したCFRP
(日立製作所)近藤 剛資
 
Dセッション:
1,3,5-トリオキサンの“固相”開環カチオン重合:オリゴマー副生抑制と超高分子量化に向けた冷却重合
(旭化成)末満 千豊
 
フォトポリマーの重合時交差拡散を利用したオンデマンドのマイクロ流路デバイス作製技術
(徳島大pLED)江本 顕雄
 
リビングカチオン重合を活かした光硬化型液状ポリイソブチレンの開発
(カネカ)井狩 芳弘
 
近赤外光によるポリプロピレンの非破壊劣化診断
(産総研)新澤 英之
 
可逆に熱硬化するシリコーン材料の開発と接着材料への応用 
(名大院工)原 光生
 


 

問合せ先

 

公益社団法人 高分子学会
第29回ポリマー材料フォーラム係

icon TEL03-5540-3770, -3771   icon FAX03-5540-3737
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